今年のドラフトと同様に、2013年のカープは投手獲得を軸にドラフト戦略を組み立てた。チーム状況が毎年変化するなか、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間に絞り、カープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は前田健太に次ぐエースに成長した大瀬良大地や、不動のリードオフマンとしてリーグ3連覇に貢献した田中広輔の獲得に成功した2013年のドラフトを振り返る。

2013年は投手を中心にドラフトを構成。1位指名を受けた大瀬良投手は、前評判通りの活躍(10勝)で新人王に輝いた。

 この年は夏の甲子園で大会史上最多となる1試合22奪三振を記録した松井祐樹(桐光学園高)と、福岡六大学野球で結果を残し続けた大瀬良大地(九州共立大)に人気が集まった。

大瀬良大地投手

 5球団が競合した松井は、楽天が交渉権を獲得。ヤクルト、阪神、カープの3球団が指名した大瀬良は、担当スカウトとして球団初の抽選に臨んだ田村恵スカウトの執念が実り、交渉権の獲得に成功。当たりクジを引いた瞬間に田村スカウトが見せたガッツポーズに、大瀬良は笑顔を見せていた。

九里亜蓮投手

 続いてカープが獲得に乗り出したのが東都大学リーグ、明治神宮大会などで結果を残し続けていた九里亜蓮(亜細亜大)だ。即戦力の触れ込み通り、大瀬良と共にプロ1年目から開幕ローテーション入り。役割問わず登板する献身性の高さで、2016年からのリーグ3連覇にも大きく貢献した。

田中広輔選手

 3位は社会人ナンバー1遊撃手の評価を受けていた田中広輔(JR東日本)を指名。丸佳浩(現巨人)がつけていた背番号63を背負い、1年目から一軍で110試合に出場した。翌2015年からショートのレギュラーに定着し、同学年の菊池涼介と共に鉄壁の二遊間を形成した。

中村祐太投手

 4位に続き、5位でもカープは補強ポイントである投手を指名。“マエケン2世”とも称された中村祐太(関東一高)は2017年に頭角を現し、今季は持ち味を生かした投球を見せつけている。

 なお、この年は2005年に制定された育成選手制度の導入以降で、初めてカープが育成ドラフトに参加しない年となった。

【2013年 カープドラフト指名選手】
1位:大瀬良大地(九州共立大・投手)
2位:九里亜蓮(亜細亜大・投手)
3位:田中広輔(JR東日本・内野手)
4位:西原圭大(ニチダイ・投手)
5位:中村祐太(関東一高・投手)