2020年のカープは森下暢仁などの大卒ルーキーが一軍で躍動を見せた一方で、二軍では高卒ルーキーの育成選手・木下元秀が輝きを見せたシーズンだった。

二軍でチーム2位となる7本塁打を記録した木下元秀選手。

「自分の場合、まだ足も守備も良くないですし、単打ばかりでは目立たないので、やっぱりホームランを打っていきたいです。たくさん打てば、それだけ支配下登録に近づくと思いますしホームランはすごく意識しています」

 1年目ながら木下が本塁打を量産する秘訣は打席内での意識にある。

「とにかく振り切ることです。打席の中では“球を打つ”というより素振りをする感覚です。素振りをする時って球に合わせる感覚があまりないと思うんです。自分はどうしても投手の球に“合わせ”にいってしまうので、とにかく自分のスイングをすることを意識しています」

 若手の積極的起用が特に顕著だった今季の一軍。中でも育成出身選手の活躍は、二軍で奮闘する木下の大きなモチベーションにもつながっていた。

「大盛(穂)さんの背番号を受け継いでいますし、僕も支配下選手になって124番が出世番号と呼ばれるようになったらうれしいですね。大盛さんはもちろん、藤井(黎來)さんも支配下になって刺激をいただきましたし、頑張れば支配下になれるという気持ちで練習に取り組んでいます」

 ホームランという一点突破で持ち味をアピールし、長距離砲としての資質を証明しつつある木下。ロマンあふれる大砲候補は支配下登録を目指し、一本でも多くのアーチをかけていく。