─ その状況の中で、打順固定については、どういう考えだったのでしょうか?

「固定と言うよりも、今季は4番の(鈴木)誠也の前後に調子の良い選手を置くしかないと思っていました。今季のレギュラークラスで言えばキク(菊池涼介)、誠也、西川、會澤(翼)は比較的安定した打撃を見せてくれていて、あとはバティスタの成長ですよね。この5人を中心に回しながら組み替えていくのが基本的な方針です」


─ 開幕当初、打線が湿りがちでチーム状態が思わしくない時期がありました。

「シーズンの最初は、その年の戦い方を探していくときなんです。投手陣なら先発、中継ぎの使い方だったり、攻撃陣もそうです。夏場に向けてチームをどういう戦い方にしていくか? だから監督自身も模索していたところはあったと思います。でも負けが込んでも、チームはまったく暗くないし、首脳陣も暗くはありませんでした。ただチームとして、最低ラインの5割は目指していかなければいけませんが、正直物足りないシーズンですね」


─ 今季は序盤から打線の調子に浮き沈みの波があります。

「正直、昨季までが良すぎましたよね。僕としては、逆に点が取れないほうが、個々で『点を取りにいくにはどうしたらいいか?』と考えるようになって、『大事に点を取りにいくようになるかもしれない、成長したときには打てるようになるかもしれない』という期待を持っています」


─ これまでになかったような不振に陥った主力選手も出てきました。

「開幕前は昨季に結果を出した松山(竜平)を5番にして、安定してくれるだろうという計算だったんですが、シーズンに入るとつまづきました。その結果バティスタを使わざるを得ない状況であったとも言えます。松山が不振で離脱したのも痛かったですし、ある程度は予測していましたが(田中)広輔の不振ですね」


(広島アスリートマガジン2019年8月号から一部抜粋・続きは本誌にて掲載)


▼ 東出輝裕(ひがしであきひろ)
1980年8月21日生、福井県出身。敦賀気比高-広島(99-15年)。
98年ドラフト1位で広島入団。高卒1年目から78試合に出場。2年目にはショートのレギュラーに定着。06年からはセカンドとして活躍し、08~09年にはベストナインに輝く。15年限りで現役引退し、16年から一軍打撃コーチに就任。
通算成績は1492試合、打率.268、1366安打、12本塁打、262打点、143盗塁。