◆トレーナーが薦めるオフシーズンの過ごし方

 疲労は、体をまったく動かさず休んでいるだけでは抜けにくいと言われています。必要なのは「アクティブレスト」。積極的休養とも呼ばれる疲労回復法です。軽く体を動かすことで血流の改善をはかり、疲労を抜きやすくなる効果が期待できます。

 スポーツ選手にはこのアクティブレストが大切です。

 具体的にいうと、シーズンオフ前半の過ごし方としては、ウェイトトレーニングの重量を落として回数を増やす。そこに有酸素運動も取り入れて、体にあまり負荷をかけずに血流をどんどん回していくことが大事だと思っています。

 スポーツ選手に限らず、すべての人に言えることですが、完全休養の時間が長いと、動ける体に戻すのに時間がかかります。そのため、体を動かしながら疲労をとっていくことが大切です。

 ちなみに、トレーナー契約を結んでいる選手とはこういった流れでオフシーズンの練習に取り組んでいます。

 まずは、アクティブレストを取り入れ、疲労回復に効果が高いと言われている「サウナ」の頻度も上げながら疲れをとっていきます。

 この時期に行うトレーニングとしては、体の機能やバランスが崩れているところを補う、負荷の少ないエクササイズが中心です。そして、選手を観察し、会話をしながら、疲労が回復しつつあるタイミングを見定め、高重量のウェイトトレーニングに移ります。

 先ほども言いましたが、オフは体を作るだけではダメです。1年間シーズンを戦って感じた課題をチームに合流するまでに少しでも克服しないといけません。そのため、疲労をとり負荷の大きいトレーニングが増えてきたタイミングで、選手と話をしながら課題点を明確にしていきます。投手であれば、足りないのは球種なのか、球速なのか、球の質なのか。打者なら、どのコースを克服しないといけないのかなど。そして具体化された課題を解決する練習メニューを作成し、それに取り組んでいきます。こういった流れのトレーニングを、12月と1月に行います。

 繰り返しになりますが、オフであっても、1日数時間でも動いておくことが大事です。そんなことプロ野球選手なら当たり前だと思われるかもしれませんが、アクティブレストを取り入れていない選手が意外と多い気がしています。

 一方、アマチュアの選手は、このリカバリーの概念がない選手が多い印象があります。鍛えれば強くなると思っている選手が多いですが、個人的にはそれは少し間違っていると思います。厳しい練習と共に、睡眠や食事など、リカバリーをきちんとやってこそ上達を重ねていく。成長期にあたる中学生や高校生はなおさらです。アマチュアの選手には疲労回復ともきちんと向き合っていってもらいたいですね。