チーム防御率がリーグ5位に沈むなど、今季は開幕当初からカープ投手陣の不調が目立った。カープOBの大野豊氏も、低迷の要因として先発陣、リリーフ陣の投壊を指摘。ただ、そのような状況下でも存在感を示したのが以下の3投手だ。孤軍奮闘ともいえる活躍を見せた森下暢仁ら3投手の活躍の要因について、大野氏に独自の目線で分析してもらった。

チームの勝ち頭となる10勝をマークした森下暢仁投手。防御率も1点台を記録した。

◆森下暢仁「全ての球が一級品、文句なしのルーキーイヤー」
<成績:18試合/10勝3敗/2完投1完封/122.2回/124奪三振/防御率1.91>

 2020年のカープ投手陣において、森下のことを触れない訳にはいきません。大学No.1投手という触れ込み通りの実力を見せましたし、何より1年間最後まで自分のスタイルを出し切った点もすごいことだと思います。

 普通新人の投手であれば、一度調子を崩すとそこから立ち直れずに連敗を喫してしまうのですが、森下の場合大きな連敗もなく、高い修正力を見せていました。それは自分がどんな投手か、自分自身の長所短所をしっかりと理解しているからこそ実現できたのでしょう。

 プロで実績を残している投手であっても、全ての能力を兼ね備えている投手は一握りですが、彼の場合本当に心技体全てにおいて高いレベルをシーズン通して維持できていました。これまで数多くの大卒ルーキーを見てきましたが、正直スケールが違うというか直球、変化球どちらもカウントが取れ、そして決め球としても使える精度を誇っています。

 普通球が速いという触れ込みで入団してきた新人選手は、往々にして制球力が低いものなのですが、森下の場合、現状では弱点らしい弱点が見当たりません。数字だけでなく、内容も伴った1年間を過ごせただけに、来季はどんな進化を見せてくれるのか期待しています。