広島ドラゴンフライズGMである岡崎修司氏は現役引退後、ユースコーチとして選手育成にも尽力している。

◆選手育成は広島県チームの魅力

天谷 地域密着という意味でいうと、カープは岡崎さんが言ったように、試合翌日に職場で勝っても負けても話題に挙がるほど広島に根付いていると思います。ただ、そこからどうするか? を考えたときに、子供たちの育成も含めて、楽しさを知っていただくことが大事になってくると考えています。それはどの競技にも共通していると思います。そのスポーツを実際に体験すれば、自ずと子どもがきっかけとなり、親御さんたちも興味を持ってくれるようになるのではないでしょうか。昨年12月にカープジュニアの監督をやらせていただいたのですが、近くに野球場がないなと。そういう環境づくりというのも、これから各競技を広めるためでも大事になってくると思います。

森﨑 観るだけではなく、“体験してもらう”というのも、すごく好きになる入り口になりますよね。

【SAH代表・神田氏が語る広島スポーツへの思い】

坂上 広島のスポーツは応援してもらえる要素のひとつとして、育てて勝つ育成型のチームという側面もあると思います。そこに親和性を持って応援されている方々も多いと感じるのですが、そのあたり岡崎さんはどう感じられていますか?

岡崎 今ウチのクラブには広島出身の選手が1名だけ在籍しているのですが、そういう意味ではまだ育成型クラブになり切れていない部分はあります。今ユース世代を育成している最中ですが、小さな頃からクラブに触れ合っているような選手が出てくると、また自分ごと化というか盛り上がりも変わってくると思います。

森﨑 サンフレッチェも同じですよね。広島の地方クラブとして、育てていく育成型クラブというのは広島の魅力だと思います。僕自身もそうでしたが、広島からプロのトップチームの選手になると、地元出身という事だけでも応援してくれる人たちは多かったりします。そういうクラブを広島スポーツ界は目指すところでしょうね。

【座談会が開催されたのは広島駅近くのスポーツバー!】

<スペシャル座談会参加者プロフィール>

スペシャル座談会の発起人
■神田康範
スポーツアクティベーションひろしま代表
1981年熊本県生まれ。大阪大学外国語学部卒業後、大手スポーツメーカーに入社し、5年間米国支社に勤務。帰国後、大手スポーツマネジメント会社などを経て「HONDA ESTILO」で本田圭佑のマネジメントを担当。2015年からオーストリアサッカー2部リーグ「SVホルン」CEOに就任。帰国後,2018年~2019年には、Bリーグ・ライジングゼファーフクオカのCEOに就任。現在は九州アジアプロ野球リーグに所属する火の国サラマンダーズの代表取締役としても活躍する。

■天谷宗一郎氏
元広島東洋カープ・プロ野球解説者
1983年11月8日生、福井県出身。2001年ドラフト9巡目で広島東洋カープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍。2008年にはレギュラーに定着し、2010年にはホームラン性の当たりを捕球するスーパーキャッチを見せるなど、記憶に残る数々のプレーでファンを沸かせてきた。2018年限りで現役を引退し、その後はプロ野球解説者として活躍中。

■森﨑浩司
サンフレッチェ広島・アンバサダー
1981年5月9日生、広島県出身。サンフレッチェ広島ユースから、2000年にサンフレッチェ広島入団。得点感覚に優れたMFとして活躍し、2004年にはアテネ五輪に出場。また双子の兄である森﨑和幸と共に長年チームの主力としてサポーターに愛され続け、3度のJ1制覇に大きく貢献。2016年限りで現役引退。その後はアンバサダーとしてクラブ広報活動に尽力する。

■岡崎修司
広島ドラゴンフライズ・ゼネラルマネージャー
1990年8月12日、広島県出身。広島・皆実高時代には3年連続全国大会出場。広島大在学中ながら2014年に広島ドラゴンフライズにチーム初の広島県出身者として入団。2017年にはシーズン中に薬剤師国家試験に合格。2018年現役引退後は、クラブのアンバサダー、ユースコーチを歴任し、2021年3月からゼネラルマネージャーに就任した。

座談会ナビゲーター
■坂上俊次
(RCC中国放送アナウンサー)
1999年にRCC中国放送に入社。テレビ、ラジオでカープ戦の実況中継を長年担当し、緻密な取材を続ける。2004年からは本誌にて「赤ヘル注目の男たち」等を連載。著書に「惚れる力」、「優勝請負人 スポーツアナウンサーが伝えたい9つの覚悟」、「優勝請負人」、「「育てて勝つ」はカープの流儀」など多数。