◆ラプソードなど最新トレーニング機材もフル活用し練習

 キャッチボールが終わると、それぞれが別メニューに取り組んでいきます。マウンドを使っての投球練習、ノック、走り込みなど、各自がその日予定していたメニューこなします。

 僕はハイスピードカメラを持ち、マウンドで投球するピッチャーを撮影し、1球ごとに体の使い方、リリースポイント、ボールの回転についてアドバイスを行います(動画はこちら)。

スローモーションで動きを可視化できるハイスピードカメラで投球フォームを撮影。

 ここでグラウンドを使っての練習は終了です。お昼休憩をして、午後からは、ジムでフィジカルトレーニングを行います。

 トレーニングは1日ごとに『ウエイトトレーニング』、『瞬発系トレーニング』、『身体操作トレーニング』の順番で行います。選手によってポジションも違えば、課題も異なるので、それぞれの選手に合ったオリジナルメニューを考えています。

身体操作系ウエイトトレーニングツールとして、海外から取り寄せた「ペンタゴンバー」を使ってのスクワット。

瞬発力アップにつながる「ボックスジャンプ」。

瞬発力などに影響のある筋肉も鍛えることができる「メディシンボールスロー」。

 トレーニングが終わると、ポータブルトラッキングシステム「ラプソード」を使い、ピッチングやバッティングの状態を分析していきます(ラプソードについての詳しい説明はこちらのコラムをご覧ください)。

 これで一日の練習は終わりです。プロ野球選手のトレーニングは、僕のジムでは、基本的には3勤1休ペースで行います(滞在日数によって異なる場合もあります)。

 ちなみに山岡投手は、彼が瀬戸内高校(広島)の頃からトレーニングを見させてもらっています。昨年は怪我の影響もあり、わずか4勝に終わりましたが、今年の状態はかなり良さそうです。

 1月上旬に自主トレを開始して、気温がマイナス7℃を記録するなど寒い日が続きましたが、そんな日でも普通にブルペンで投げていました。

 プロ野球選手の自主トレと聞くと、宮崎県や沖縄県など、比較的気温が温かい場所での練習をイメージするかもしれませんが、寒い場所ならではのメリットもあります。

 僕の自主トレのように、決して気温が高くない場所でトレーニングを行う場合、しっかりとした準備をして自主トレに臨まないと体を動かすことができません。そして、寒くても体が動く状態にしておくと、例えば気温が3℃でも温かく感じます。

 3月上旬のオープン戦は寒さが気になる場所で試合を行うことも数多くあります。自主トレ、キャンプと温かい場所で調整し、急に寒い地方で体を動かすと、怪我のリスクも高まります。そういった意味では、寒い場所で自主トレを行うメリットは大きいと個人的には思っています。

 このコラムが掲載される頃には、3週間近くにわたり行った1月の自主トレが終わり、選手は所属チームに合流します。そして、すぐに春季キャンプがスタートします。

 担当している選手がどんなキャンプをおくり、2021年のプロ野球開幕を迎えてくれるか、楽しみに見守りたいと思います。

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高島誠(たかしま・まこと)
広島県東広島市の西条町にある、野球専門のトレーニングジム「Mac's Trainer Room」の代表。オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナー経験があり、現在も数多くのプロ野球選手とトレーナー契約を結んでいる。趣味はパルクールとサウナで、サウナ・スパプロフェッショナルの資格も持つ。野球トレーニングのオンラインサロンの運営、【英語】x【身体作り】x【野球】がテーマの中学硬式野球チーム「東広島ポニー」に携わるなど、様々な分野で活躍。「Mac's Trainer Room」のYouTubeチャンネルでは、野球トレーニングに関する動画を公開中。
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