決定力不足が課題のサンフレッチェが、1次キャンプから4バックに取り組んでいる。鹿児島での2次キャンプも視察したサンフレOBの吉田安孝氏が、2018年以来となる新フォーメーションについて言及する。

プロ18年目を迎える青山敏弘選手。キャンプを視察した吉田安孝氏も、状態の良さを称賛した。

 今季は例年以上に過酷なシーズンとなることが予想されます。2チーム増えたことで試合数が増加しますし、五輪期間のリーグ戦中断もあって今年も過密日程にならざるを得ません。その上でシーズン後には4チームがJ2に降格します。コロナ禍も続いていますし、サンフレッチェに限らず、どのチームも調整は容易ではないでしょう。

 そんななか、サンフレッチェが一次キャンプからシステム変更に取り組んでいます。昨年までは3バックで戦っていましたが、今年は2018年以来となる4バックを採用。4チーム降格ともなればリスクを犯さない方向でチームづくりをするのが普通ですが、城福監督は昨年の反省点をもとに得点力向上に着手することを選択しました。

 これまで積み上げたものをベースにすれば、ある程度は戦えるのは昨季までで証明済みです。前述したように、普通であれば安全策を取っても何らおかしくありません。ただ、その中でも城福監督は変化を求めてチームとしてレベルアップする方向にシフトチェンジしました。これは本当に勇気のいることだと思います。残留狙いではなく、優勝を狙うという城福監督の本気を感じましたね。

 皆さんも分かってらっしゃるように、3バックは守備のときは左右のウイングバックが下がって5バックでブロックするシステムです。一方で4バックは両サイドバックが攻撃参加したときは2センターの二人で守る形になります。一人選手が浮くことでトップ下が3枚になるわけですから、より攻撃的なシステムということになりますね。

 城福監督就任1年目に採用していたこともあり馴染みのある選手もいるでしょうが、チーム全体で考えれば大きなチャレンジとなります。そこで今季は一次キャンプ2日目から、早くも実戦練習を取り入れています。通常であれば一次は体力強化に充てることが多いですが、新システムにいち早く適応できるように紅白戦やトレーニングマッチで戦術を落とし込んでいます。個人的には同じハードな練習をするのであれば、素走りよりも実戦形式の方が理に適っていると思いますね。

 キャンプインと同時に実戦に入るということで選手たちもオフから高い意識を持って調整をしてきたでしょうし、一人ひとりが自覚を持ってオフを過ごしたからこそ良い形でキャンプをスタートすることができました。開幕(2月27日、仙台戦)が目前に迫ってきましたが、ケガやコロナに気をつけて昨年のような開幕ダッシュを見せてほしいですね。