過密日程が続くなか、サンフレッチェ広島がピッチ上で粘り強い戦い見せている。試合の締め方など課題がないわけではないが、中2日を含む強行日程でルヴァン杯を含め1勝4分の負けなしは及第点以上とも言える。

 今年は決定力の向上を図るために、2018年以来となる4バックを採用。ここではヨンソン監督からシステムを引き継ぎ開幕ダッシュに成功した、2018年当時の城福浩監督の声をお届けする。

2018年よりサンフレッチェ広島を率いる城福浩監督。初年度はヤン・ヨンソン監督が用いた4バックを採用した。

◆ベンチに座り確信した広島が持っている力

― サンフレッチェの監督に就任後、初の公式戦となった2月25日の札幌戦では、本拠地・エディオンスタジアムで勝利を飾られました。あの1勝は城福監督にとって、大きな意味があったのではないでしょうか?

 「自分たちが取り組もうとしていることが1試合で左右されることはありませんが、実際に試合を戦っている選手や、試合に関わっている人たち、応援していただいたサポーターたちにとって非常に大きな1勝だったと思います。勝利は自分たちがこれまで取り組んできたことに対してポジティブになりますし、背中を押してくれますから。ただ、両手をあげ万歳をして喜ぶというよりも、目指すべき方向に向けて、再び気を引き締めようという気持ちの方が強かったです」

― スタジアムにはたくさんのサポーターの方がいらっしゃいました。あのスタジアムの雰囲気について、どのように受け止められましたか?

 「以前から、アウェーのベンチであのスタジアムの雰囲気は何度も感じてきました。サンフレッチェというクラブについて考えた時に、地方にあるクラブながら、素晴らしい実績を上げているということもあり、『きっと何かを持っているんだろう』と思いながら見ていました。そしてホームの側のベンチに座ることで、サンフレッチェが持っている『何か』の一端がわずかながら見えたような気がします。光栄ですし、すごく心強いです。“サッカーの御三家(静岡、埼玉、広島)”の内の1つである土地柄もあり、サッカーを見る目が肥えている方もきっと多くいるでしょうし、たくさんのサポーターに応援されているクラブなんだということが改めて理解できました」

― 開幕前の2月19日には、市内の商店街を選手たちと練り歩き、J1リーグ開幕の呼びかけを行いました。練習場以外でサポーターと直に触れ合われましたが、いかがでしたか?

 「我々のクラブが広島で根付いていくため、そしてもっとたくさんの方々から応援していただくためには、あのような活動が非常に大切だと思っています。選手自身も活動の大切さを理解しているように見えたことも、とてもうれしく思いました。あの活動がもっと大きな渦を呼び起こすことができるようにしていければと思っています」