過密日程が続くなか、サンフレッチェ広島がピッチ上で粘り強い戦い見せている。試合の締め方など課題がないわけではないが、中2日を含む強行日程でルヴァン杯を含め1勝4分の負けなしは及第点以上とも言える。

 今年は決定力の向上を図るために、2018年以来となる4バックを採用。ここではヨンソン監督からシステムを引き継ぎ開幕ダッシュに成功した、2018年当時の城福浩監督のインタビューを抜粋してお届けする。
(広島アスリートマガジン2018年4月号掲載)

2018年からサンフレッチェ広島の指揮を執る城福浩監督。

― 城福監督にとって、どんなチームで指導される時も大切にされている指導哲学はありますか?

 「選手から信頼される指導者でありたいということは、常に考えていることです。サッカーというスポーツは11人しかスタメンで起用することができません。ベンチメンバーを含めても、18人しか試合に関わることができません。そうしたシビアな状況で、何を以って信頼を得られるのでしょうか? 私個人的な考えとしては、『この人と一緒にやっていれば、自分が成長できる』と選手が感じられるかどうかということが大切なのだと思います。20歳だろうが、30歳だろうが『この人は自分を成長させてくれる』という感情を抱くという点においては、差はないと思います。逆に言えば『この人とやっていれば、自分は成長できるんじゃないか』という気持ちを呼びおこさせること以外に、監督は信頼を得られないと思っています。選手にとって、自分を試合で使ってくれる監督は良い監督ですし、使ってくれない監督はその逆です。それがプロの世界の常だと思っています」

― これまでのご経験から、監督にとって必要な能力とはどんなものだと思われますか?

 「選手と同じように、監督にもパーソナリティーがあります。問題発見能力、問題解決能力、コミュニケーション力、決断力、選手の能力を正確に見抜く能力、高い組み合わせをつくり上げる能力、全てがエクセレントであれば問題ありませんが、実際そんな監督はいません。もちろん日々の研鑽の中でそうした部分を高めていこうと意識はしていますが、そのこと以上に私が意識しているのは、『自分らしさ』を大切にしようということです。自分らしくアプローチをすることができて、選手から見たときに『ぶれない監督』であると思われることが大切なんだと思っています」 

― 城福監督らしさとは、どのようなことなのでしょうか?

 「順風満帆な選手に対しては、極端に言えば声をかけなくても良いわけです。逆にメンバーから外れてしまった選手、ドツボにハマってしまっている選手、ともすればコミュニケーションをお互いとりづらい立場になった選手ほど、気をかけるべき存在だと思います。私はそういう選手にこそ、壁をつくらないようにしたいと思いますし、そうした選手が前向きに取り組めるような手助けをしていければと思っています」