Bクラスからの浮上を目指すカープにおいて、最大の課題と言われているのがリリーフ陣の再構築だ。リーグ3連覇当時は、磐石の継投リレーで数多くの“逆転のカープ”を演出。ここでは2018年以降にスポットを当て、各年度の勝利の方程式を振り返っていく。

2003年の永川勝浩(現一軍投手コーチ)以来18年ぶりに、プロ初登板初セーブをマークした栗林良吏。

◆2018年「ジャクソン不調に伴い、“救世主”フランスアが台頭」
<勝利の方程式=一岡竜司-フランスア-中﨑翔太>

 アドゥワ誠、フランスアという新戦力が台頭するなか、ブルペンキャプテンに就任した一岡がこの年も59試合に登板。5勝2セーブ18ホールド(防御率2.88)の活躍で、リリーフ陣を引っ張っていった。一方で同じく連覇の立役者の一人であるジャクソンは、二軍降格を味わうなどセットアッパーの役割を果たすことができなかった。

 とはいえ、5月下旬に支配下登録を勝ち取ったフランスアが、周囲の期待値を上回る投球を披露。8月にはプロ野球記録に並ぶ月間18試合登板(防御率0.51)で月間MVPを獲得する活躍を見せ、リーグ3連覇を引き寄せる救世主となった。また8月8日には中﨑が史上30人目、カープでは4人目となる通算100セーブを達成。“逆転のカープ”(41試合)を演出すると共に、3年連続での胴上げ投手となった。

◆2019年「リーグ3連覇を成し遂げた勝利の方程式が崩壊」
<勝利の方程式=菊池保則-中村恭平-フランスア>

 この年は前年までと一転して、3連覇を成し遂げたリリーフ陣が軒並み不調に陥った。7月には一岡がコンディション不良により登録を抹消。今村も前年に続いて本来の投球を取り戻すことができなかった。

 極め付けは3年連続胴上げ投手の中﨑の不調で、交流戦の最中に抑えの座から陥落。二軍での調整を経て7月末に再登録を果たしたが、8月24日には再び二軍に降格することとなった。オフには右膝半月板部分切除手術を行い、2021年現在も再起に向け二軍で調整を続けている。

 絶対的守護神を欠いたチームは、新たにフランスアを抑えに指名した。しかしセットアッパー時のような安定感は見られず、例年40前後で推移するセーブ上位ランキングにおいて、カープはフランスアが12、中﨑に至っては9にとどまり、数字の面でもリリーフ陣の不調を露呈することとなった。