新型コロナウイルスの影響で主力選手を大幅に欠くなか、カープが総力戦で交流戦初勝利を飾った。内容自体はロッテの守乱に助けられた部分もあるが、戦力が不十分な中での勝利には大きな意味がある。

ドラフト2位ルーキーの森浦大輔投手が、ピンチの芽を摘みチームの勝利に貢献した。

 この日の主役となったのは、2点差に迫られた5回2死二塁の場面で登板した森浦大輔。首位打者2回の角中勝也を迎えるピンチだったが、変化球を低めに集め冷静にショートゴロに打ち取った。

「全ての球種を見てもらいたいですが、一番アピールしたいのは120キロ台後半のチェンジアップです。そこにストレートとスライダー、カーブを織り交ぜて、とにかく実戦で結果を残していきたいです」

 6回も回跨ぎで登板し、5試合連続となる無失点で切り抜けた。結果、矢崎拓也が背負っていた背番号『13』を受け継いだ森浦が、プロ14度目の登板で待望のプロ初勝利を手にしてみせた。

 9回には栗林良吏が19試合連続無失点の新人記録を更新するなど、今季は大道温貴を含め若手選手の活躍で難局を乗り切っている。主力選手を大幅に欠く状況とはいえ、チームにとっては今後に向けての大きな光明だ。

「気持ちを球に込めて投げるタイプですが、マウンドでは、“心は熱く頭は冷静に”を意識しています。気持ちのメリハリをつけることも心がけています。打たれた試合は悔しいですが、引きずっていてはダメなので落ち込まず、次はどうしたら抑えることができるかをしっかり考えるようにしています」

 マウンド上のポーカーフェイス通り、森浦はコメントも沈着冷静だ。オープン戦を無失点で乗り切り、堂々と開幕一軍の切符を勝ち取ったドラ2左腕が、異常事態に見舞われているチームを救うべく今後も左腕を振り続ける。