◆同期入団高卒野手3人が3年以内に一軍定着

 それが、「高卒若手野手」の台頭だ。

 その中でも特に注目したいのが、小園海斗、林晃汰、羽月隆太郎の高卒3年目トリオ。同期入団、同学年の彼ら3人は今季、揃って一軍でスタメンに名を連ね、規定打席不足ながら全員が打率3割を超える結果を残している。

 ドラフト1位の小園は入団時から注目され、1年目から一軍デビューを果たすなど、この世代の出世頭。しかし、林、羽月のふたりも2年目には一軍デビューを飾り、3年目の今季、揃ってブレイクの兆しを見せている。

 彼らは2018年ドラフト組。同期入団の高卒野手3人が高卒3年以内に一軍に定着するケースは、プロ野球の世界でも稀有な例と言える。

 羽月は新型コロナウイルス陽性判定となった影響で戦線を離脱していたが、6月8日に二軍に合流。6月11日のオリックス戦では、この3選手がスタメンそろい踏みを果たした。

◆壮絶なポジション争い

 問題は、ポジションだ。

 3選手はともに内野手登録。ただ、羽月は登録抹消まで主にセンターで出場していたので、ショート・小園、サード・林、センター(もしくはレフト)・羽月のラインナップが現実的だろう。

 ただし、チームには今、彼ら3人以外にも中村奨成がいる。中村もまた、捕手登録ながら打撃の好調ぶりを評価され、捕手以外のポジションでの出場を増やしている最中だ。

 ちなみに中村奨は彼ら3人の1学年上の高卒4年目で、同じように打率3割を大きく上回る成績を残している。

 しばらくは三遊間と鈴木誠也、西川龍馬以外の外野1ポジションをこの4選手と田中、安部、野間峻祥らで争うことになりそうだ。

 カープは伝統的に、ドラフトで「即戦力の大卒、社会人投手」と「将来性ある高卒野手」を獲得してきた歴史を持つ。高卒野手の育成ノウハウについては12球団屈指と言ってもいい。

 もちろん、彼らがこのまま順当に成長し、チームの主軸を担う立場に上り詰められるかは分からないが、近い将来、タナキクマルに代わる存在として「小」園海斗、「林」晃太、羽月「隆太郎」の「コバヤシリュウタロウ」トリオが不動の主力として内野陣を固められるようなことがあれば、カープ黄金時代の復権も見えてくる。

 高卒3年目、3人の若鯉のプレーから、今後も目が離せない。