◆居酒屋で行われた、驚きの入団会見

 2002年から2年間、9番を背負ったのが高橋泰。知らなければ読めないはずだが、泰と書いて「ゆたか」と読む。1999年1月の帝京高3年時に高校選手権で大活躍して注目され、大会後にサンフレッチェがオファーを出して獲得に至った。

 少し本題からそれるが、このときの加入発表会見が面白かった。高橋の実家は東京都内で居酒屋を営んでおり、その店内で行われたのだ。当時の強化部長が生ビールのジョッキ、高校生の高橋がウーロン茶のグラスを持って乾杯、という、現在なら賛否両論ありそうな写真撮影だったのが印象深い。

 高橋は26番、14番を経て、プロ4年目に9番を託された。その年にサンフレッチェはJ2に降格してしまうが、翌2003年はシーズン序盤に1試合4得点を記録するなどスタートダッシュに貢献。J1に復帰した2004年に期限付き移籍でサンフレッチェを離れ、その後は多くのクラブを渡り歩いたが、各クラブで昇格に貢献して印象に残る活躍を見せたのは、確かな実力があったからこそだ。

 2009年途中から9番をつけた李忠成は、加入1年目は出場機会を得られずに無得点に終わったが、2010年は出場機会を増やして11得点。活躍が認められて日本代表に選出されると、2011年1月のアジアカップ決勝で、日本を4回目の優勝に導く決勝ゴールを決めた。2011年はリーグ戦でも15得点を挙げ、翌2012年にイングランドのクラブに移籍。疾風のように駆け抜けていった印象だ。

 その後の2人の9番は、それぞれサンフレッチェの黄金時代に躍動した。2012年に加入した石原直樹は豊富な運動量やスピードを生かし、シャドーのポジションで活躍。下がり目の位置から前線に飛び出して多くの貴重な得点を決め、リーグ戦で7得点を挙げて同年のJ1初制覇の立役者の一人となった。さらに翌2013年は10得点を記録し、2連覇に貢献している。

◆21得点を挙げる大ブレイク!3度目のJ1制覇に大きく貢献

 石原が移籍した2015年に加入したのが、ブラジル国籍のドウグラス。徳島ヴォルティスからの期限付き移籍で、前年にJ1で活躍できなかったこともあり、大きな期待はかけられていなかった。しかし、シーズン途中から石原と同じシャドーのポジションでチームに融合し、終わってみれば21得点を挙げる大ブレイクで、3回目のJ1制覇に大きく貢献した。

 翌年の9番も印象深い。契約の問題で退団したドウグラスに代わり、新たな得点源として加入した元ナイジェリア代表のピーター・ウタカは、高い身体能力と巧みなボールキープを駆使して得点を量産。ドウグラスよりも少ない19得点ながら、2012年の佐藤に続くクラブ史上2人目のJ1得点王に輝いた。

現在、サンフレッチェ広島で9番を背負い活躍しているドウグラス・ヴィエイラ選手。

 現在はブラジル国籍のドウグラス・ヴィエイラが、9番を背負って2年目になる。加入1年目は20番、サンフレッチェの前に所属していた東京ヴェルディでも1年目は17番だったが、2年目から9番をつけていた。変更の理由を聞くと、子どもの頃にあこがれたストライカーにあやかっているという。