第103回全国高校野球選手権広島大会は、90校86チーム(5校連合チームが1)が参加して、10日(土)に開幕する。大会で注目するのは広島新庄と広陵。勝ち上がれば両チームは準決勝で対戦する。

広島大会注目の右腕・広島新庄高の花田侑樹投手

 広島新庄は今春のセンバツで上田西(長野)に完封勝利。右腕・花田侑樹(3年)―左腕・秋山恭平(3年)の投手リレーで、投手力の良さを見せつけた。万全と思われた投手力も、春の県大会では優勝はしたものの、花田が故障で代打に専念。左腕・西井拓人(3年)、右腕・新開健音(3年)の両投手の好投と秋山の好リリーフで、中国大会に出場。初戦は米子東(鳥取)相手に西井の快投で勝ったものの、次戦の創志学園(岡山)には完敗。西井、新開が創志学園の打線に捕まった。打線も相手左腕に7回完封を許した。安定した投手力があってこその広島新庄。花田、秋山の復活と、つなぐ打撃と機動力を絡めた攻撃力への回帰が、頂点への必修条件だ。

 広陵は、昨秋の県大会では準々決勝で2-9(7回コールド)、今春は準決勝で1-2と、2度とも広島新庄に敗退。昨秋から比べると春は互角に戦った。安打数で上回った試合は手痛いミスが絡んでの失点。大会途中から守備の要・三宅雄大(3年)がショートに復帰したものの、内野のほころびが出た形だ。優勝への条件は、柱になる投手が出てくること。左腕の福島孔聖(3年)、内海優太(3年)、右腕の松林幸紀(2年)など、高いレベルの投手が揃うだけに、精神的柱が出てくれば3年ぶりの夏の聖地にたどり着く。

 組み合わせ抽選で注目したのは、呉、盈進、武田、崇徳、高陽東、瀬戸内、尾道商、広島国泰寺などのノーシードの実力校がどのゾーンに入るか。比較的分散されただけに、上位争いに混戦が予想される。優勝した広島新庄から如水館のゾーンには尾道商、瀬戸内が入った。尾道商との対戦が予想される英数学館も面白い存在だ。瀬戸内と如水館が8強争いでぶつかれば、激しい打撃戦が予想される。

 春季大会準優勝の呉港から広島商のゾーンには、甲子園経験のある呉、崇徳が入って激戦区となった。順当なら古豪復活の呉港と、新鋭の呉が8強争いとなる。共に攻撃力は高いレベルにあり、投手力で上回る呉港と守備力が高い呉は、終盤まで目が離せない戦いになりそうだ。崇徳と広島商は3回戦で対戦しそうだ。共に2年生がキーマンとなりそうなだけに、早く先取点を奪いたい。

 春4強の尾道から山陽のゾーンには、昨秋県準優勝、秋季中国大会8強の盈進や武田、広島国泰寺が入った。尾道は3回戦で盈進と対戦する可能性が極めて高い。共に2枚の好投手を擁し、多彩な攻撃が出来る両チームは、終盤の得点争いが勝負を決めそうだ。山陽は3回戦で武田と、準々決勝で広島国泰寺との対戦が見込まれる。天候が順調なら中4日の間が空くのが幸いしそうだ。

 広陵から西条農のゾーンには昨夏4強の高陽東が入り、順調なら昨夏準決勝で対戦した広陵―高陽東のカードが8強争いとなる。西条農が初戦で対戦しそうな大竹は、好投手・沖優司(3年)を擁し、侮れない相手だ。

 今大会は、天候に恵まれれば連戦の無い日程が組まれている。翌日を考えずに惜しみなく投手が使えることで、例年以上に投手交代が活発になりそうだ。