東京五輪で金メダルを目指す侍ジャパンのメンバーに、カープから12球団最多となる4選手が選出された。この連載では、侍ジャパンの4番として期待がかかる鈴木誠也が、過去に本誌の独占インタビューで語った思いを取り上げ、プロ入りからここまでの軌跡を振り返る。

 4回目となる今回は、プロ3年目の春季キャンプ中に行ったインタビューから、レギュラー奪取に燃えていた鈴木の言葉を届ける。3年目に臨む鈴木の大きな原動力になったもの、それは2年目の悔しい経験だった。
(広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」に掲載)

プロ3年目を迎えた鈴木誠也選手。経験を重ね悔しさを味わいながらレギュラー奪取に燃えていた。

◆[一軍定着目前のインタビュー]あの悔しさをバネに(前編)

─キャンプインまでの自主トレでは、どんなトレーニングを行われていたのですか?

「昨年は体を大きくする目的を持ってウエートトレーニングをやっていたのですが、今年はどちらかと言えばケガ予防の意味を含めてウエートをしていました。そういうトレーニングをしながらも、しっかり走ったりして筋力を上げていきました」

─筋力アップで体重も増加すると思いますが、やはり体重には気をかけているのですか?

「今年に入って特に体重は気にしています。昨季調子が良かった時期は81キロだったのですが、それでは1年も持たないと思ったので、オフに85キロまで増やしました。それでもキャンプに入って走れているので、あとは落とさないことが目標です」

─自主トレでは、丸佳浩選手と行動を共にしたそうですね。

「昨季も休日の練習は、僕から『一緒に練習させてください』とお願いして練習をしていました。その流れもあって12月からの自主トレは一緒に練習をさせていただきました」

─丸選手と練習をしたことで、得たものはありますか?

「練習での動きや普段の会話など全てが参考になりました。打撃は左と右で違いますが、良い部分を盗もうと思っていろいろ質問もしました。走塁に関しても、単純に『盗塁ってどうやってするんですか?』と聞いたのですが、『ズルさだよ』と教わりました」

─丸選手の盗塁技術論は具体的にどんなものだったのですか?

「走るという雰囲気を出さないで〝そ~っと走る〟というイメージです。僕の場合は盗塁するとなると、走るぞという仕草が体に出てしまっていて、それをずっと指摘されていたんです。相手投手を騙すというズル賢さが大事なんだということを学びました」

─2月1日にキャンプインしてから、自主トレの効果は感じられていますか?

「自主トレのおかげもあって昨年よりも体は動いていますし、打球の飛距離も伸びているという実感が自分の中にあります。初めてのシート打撃でも実際に投手が投げてくる球に対して、最初は思うような打球を打てませんでしたが、何度も打席に立つことで感覚も戻ってきました」

◆2013年から2020年に行った鈴木誠也のインタビューは、広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」で公開中。