ついに開幕した東京五輪。この連載では、侍ジャパンの主砲として期待がかかる鈴木誠也が、過去に本誌の独占インタビューで語った思いを取り上げ、プロ入りからここまでの軌跡を振り返る。

 今回は、2019年のシーズン開幕前に行ったインタビューを取り上げる。背番号が『51』から『1』に変わって迎えたシーズン。若き4番打者が抱いていた思いに迫る。
(広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」に掲載)

2019年に背番号が『51』から『1』に変わった鈴木誠也選手。

◆[主軸としての自覚]自己満足せず、みんなで勝ちたい

─キャンプ前には、2年ぶりに内川聖一選手(ソフトバンク)らと自主トレを共にされていました。改めて吸収できたこと、収穫などはありましたか?

 「今回一緒にトレーニングさせてもらうのは三度目になりますけど、特別変わりはありませんでした。ただ、あの場所でみんなで刺激し合いながら練習をするということに意義があると思っています。自主トレなので遊び感覚でワイワイやるのも良いんですけど、僕としてはあまりそういうことを望んでいません。そういう意味でも、あの場所は練習量もそうですし、厳しくトレーニングすることができるので、一番合っていると思っています」

─体もさらに大きくなったように感じます。トレーニングではどのようなことを意識しているのですか?

 「まず自分の体がちゃんと整っていないと良いプレーができないと思っています。トレーニングを行う前に食事を変えないと体の中身自体も変わってこないですし、それが体にも出てこないので、摂るものをある程度気をつけています。そうやって食事にも気をつけた上でトレーニングをしっかりして、土台をつくって練習をやらないと技術もついてこないと思っています。シーズンオフは期間が短いので、トレーニングをやれる時間も少なくなってきます。なので、オフだけじゃなくて、シーズン中もしっかりやっていかなければいけないと思っています。特に昨年12月は、ほぼバットを振らないくらいでトレーニングに励んでいました」

─今年の春季キャンプはケガなく順調に過ごされていました。今回は、どのようなテーマで日々の練習に取り組んでいたのですか?

 「とにかく振り込むというだけでしたね。キャンプ前半は別メニューではありましたけど、その中で自分がやれることはしっかりできましたし、キャンプでは自分の限界ギリギリまで振ろうと決めていました。そういう意味では毎日自分に負けずになんとかやれたのかなと思います」

─昨年までのキャンプとは、また違う感覚もあったのでしょうか?

 「そうですね、『やらされる練習』というのも、もちろん大事なんですけど、長い時間やっていると、どうしても惰性になってしまうことがあったりします。自分でやっているときにも気を抜いてしまいそうになることもあるんですけど、やっぱり『任せられている』というのもありますし『そこで手を抜く訳にはいかない』という気持ちがあります。そういう中で、一球一球より集中して惰性にならないように練習をやれたので、自分の中ではすごく意義のある練習だったと思います」

─昨年11月に右足首のボルトを抜く手術を行いました。右足の状態が心配されましたが、キャンプ中の状態はいかがでしたか?

 「どうしても痛みに波があって、良いときもあれば悪いときもありました。その繰り返しですね。ケアもそうですけど、足首だけではなくて、いろんな部分から足首に痛みが来ているという可能性もあります。足首単体だけが悪いという訳でもないので、いろんなところを気をつけながら練習、トレーニングをやるようにしていました」

◆2013年から2020年に行った鈴木誠也のインタビューは、広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」で公開中。