豪快に一塁ベースを放り投げるブラウン監督

 またファンのみなさんも記憶している方も多いと思いますが、マーティーはベースをぶん投げてみたり、よく退場をする激情型の指揮官というイメージがあると思います。ですが、退場してもベンチ裏では冷静に試合展開を見ていましたし、その行動もすべて、チームを勝利に導くために、選手たちの士気を上げるためのパフォーマンスだったのでしょう。

 もちろん、その行動はリスクを伴うものですが、マーティーからは『これで上手くいかなかったら、すべて自分の責任だ』という気持ちをいつも感じさせてくれましたし、選手としてはある意味面白いなと感じました。

 結果的にマーティーがカープを率いた4年間は、なかなかチームの戦力が整わず、苦しいシーズンが続きました。ですが、僕個人としては、先に述べたように、プロ野球選手としての考えを変えてくれた良い出会いでした。

 もしマーティーに出会っていなければ、投手として若い頃からの理想像を追い求め過ぎ、プロ野球選手としてもっと早く終わっていたと思います。当時の僕にとって、『今の自分の活かし方は何なのか。この先チームに対してどういう立ち位置でプレーしなければならないのか』を考える大きなきっかけになりました。

 4年間マーティーの下でプレーをして、合理的な考えを持った、アメリカ版野球小僧な監督だと感じました。そして、あの時期に球場もマツダスタジアムへと変わり、ファンサービスに対する考えも含めて、カープが変化していくきっかけをつくった監督でもあったと思います。