お立ち台で水をかぶる鈴木誠也選手

新たに取り入れた調整法

「一言で言うと良い経験ができたシーズンでした。結果自体はあまり意識していなくて、ずっと試合に出続けられたことが僕にとって意味がありました。1年間一軍で出場するということを勉強させてもらったのはすごく良かったです。シーズン中は結果を出さないと試合には出続けられないと思っていたので打率は意識していました。終わってみれば調子の波が少なくできていたと思うので、その点は良かったと思います」

 フルシーズンを戦うため体のケアも徹底した。開幕直後は右足ハムストリングスのケガで出遅れたものの、その後は年間を通じてグラウンド上に立ち続けた。

「15年までは週に3~4回のウエートをがっつり入れていましたが、昨季はウエートを週2にして、しっかり休むことを前提としたトレーニングをするようになりました。内容も重いトレーニングばかりを入れるわけではなく、春先は比較的重いトレーニングを入れて、夏場は自体重だけでのトレーニングをやりました。その甲斐もあって途中離脱もありませんでしたし、体重も6キロ増やすことができたので体調管理はうまくいったと思います。最初の頃は試合後も打ち込みを続けていたのですが、ずっと試合に出ていると次の日のパフォーマンスに影響して良くないと思ったので、途中から数と時間を決めて練習をするようにしていました。でも自分の中で試合後の素振りは、1日の反省を見直す意味があったので、それは毎日続けていました」

 1年間フルで戦える体をつくり上げ、試合では他を圧倒するパフォーマンスを見せ続けた。端から見れば、まさに順風満帆。とはいえ、クライマックス・シリーズ(以下CS)と日本シリーズとポストシーズンでは思うような成績を残せなかったこともあり、本人の中では納得のいかない思いもあった。

「CS、日本シリーズとあまり良い結果が出なかったので、あれが今の僕の力なんだと感じました。シーズンが終わってから急にしんどさを感じましたね。プレッシャーから解き放たれたというか、やっと終わったんだという達成感がありました。シーズンが終わった後は少し野球から離れたいなと思いました。でも昨季を振り返れば、もうちょっとできたんじゃないかと思うことがありました。外野手は代わりの選手がたくさんいますし、試合に出るためにはまず打たなければいけません。シーズン中は自分のことで精一杯でした。自分の結果ばかり追い求めてやったシーズンでしたね」