「アスガク from Hiroshima」で教育・研修事業を担当する門田卓史です。

人が成長するにはチャレンジが欠かせないこと、さらに過程が重要であることをお伝えしてきました。
このチャレンジと過程は、スポーツには欠かせないことで、故に成長の機会がふんだんにあります。

スポーツにふんだんにある体験は成長の機会ですが、単に体験を積み重ねればいいか、と言われるとそうではありません。
成長につなげるには「ふりかえり」がとても重要です。

【自身の経験から学びを得る「経験学習」】

自身の経験から学びを得る方法の一つである「経験学習のサイクル」をご紹介します。 この概念は、D.A Kolb氏が提唱した経験学習理論に基づいて、経験から学ぶプロセスをモデル化、理論化したものです。
※体験学習とされる場合もあります。

 

上図を参考に経験学習のサイクルについて説明します。

「具体的な経験」
具体的な経験とは、より直接的な行為である体験をすることです。
机上の理論や伝聞ではなく、実際に自らの意志において、考え、判断し、行動することです。

「観察と省察」
具体的な経験において発生した事実や感情を受け止めます。そして、その事実を客観的に、さまざまな角度から見つめ、省察(考えを巡らす)します。

「一般化・概念化」
経験について省察したことをさらに掘り下げ、気づきや学びとして、自分なりの教訓や持論としてまとめていきます。

「適用・応用」
教訓や持論としたものは、そのままではまだ試したことの無い仮説ですので、他のことや場面において実際にやってみます。

このプロセスに経て行う次の経験は、最初の経験とは異なります。
「経験を生かす」とはまさにこのことで、これを繰り返すことによってスパイラルアップ、つまり成長していきます。
(経験学習のサイクルを立体的に見ると、螺旋階段のように継続的な向上=成長に結びつけることができます)

 

このサイクルの「観察と省察」「一般化・概念化」「適用・応用」までを「ふりかえり」と言います。
反省との違いは、反省はほとんどの場合「観察と省察」のみで、結果の原因や責任を明らかにするところまでですが、ふりかえりは気づきや学びを抽出し、次にどうするかを描くまでを含みます。

「練習は嘘つかないって言葉があるけど、考えてやらないと普通に嘘つくよ。」 メジャーリーグで活躍するダルビッシュ・有選手が以前ツイートした言葉です。 考えてやらない、つまり単にやればいい、闇雲にやればいいということではなく、体験を「ふりかえり」、成長に、進化につなげていく意志が重要です。

【成長につながるキモは「ふりかえり」にあり!】

理論というと難しく感じられるかもしれませんが、スポーツはもちろん、私たちも普段から様々な場面で行ってきているものです。
あるプレーにチャレンジするという具体的な経験をし、そこで起きたことについて様々な視点から見つめ、さらに分析し掘り下げて自分なりの考えを見出し、再度チャレンジする。
これを繰り返していくことで、様々なプレーができるようになっていく、という過程は、スポーツでは頻繁に行われていることです。

自転車に乗れるようになったプロセスも、全く同じです。実際に乗ってみて、転んで、どうして転んだのか、どうやったら転ばないかを考え、徐々に乗っていられる距離が長くなり、自由自在に操れるようになってきたと思います。

私たちは経験学習のサイクルに基づいた学びを得て、様々なことができるようになっていく、というプロセスを気付かないうちに辿っています。
ビジネスシーンではもちろんのこと、クラブチームや学校といった様々な場面で行われる、会話や会議などのコミュニケーションから、意思決定や課題解決、意識変容や行動変容といったあらゆることに用いることができます。

スポーツでの経験は決してスポーツだけに通用することではない。
ふりかえりを通して得た気づきや学びは、様々な場面や状況に生かすことができます。

 

【プロフィール】
門田卓史(もんでん たかし)
(株)edu-activators(エデュアクティベーターズ) 代表取締役
1975年広島生まれ、2016年より現職。アドベンチャー教育、体験教育を背景に、企業や大学、学校教育、スポーツなど幅広い分野に対し、チームビルディングや組織開発、人材育成、ファシリテーション研修などを提供。理論や経験に基づく知識を提供するだけでなく、体験・体感型のワークを通し、受講者自身の気づきから学びを促す納得度の高い参加型の研修を展開。スポーツ分野においては、日本サッカー協会A級ライセンス講習会、日本バスケットボール協会S級ライセンス講習会において講師を務めるほか、サンフレッチェ広島スクールが『人としての成長』を目的に開催されるキャンプの企画運営を担うなど、成長をテーマとした研修を提供している。