「アスガク from Hiroshima」で教育・研修事業を担当する門田卓史です。

前回のコラムで紹介した「経験学習のサイクル」について、その特徴やメリットについて説明します。

 

【取組み易い】

経験学習は決して難しい理論やセオリーではなく、誰もがこれまでに行ってきたこと、普段から行っていることです。
普段の生活や練習において無意識で行っていることについて、経験学習のサイクルを意識し、それぞれの段階について普段よりも丁寧にふりかえってみると、いつもより早めにコツを掴むといった学びを得られるようになります。

また、「まずはやってみる」から展開できることも特徴です。
最初から完璧な計画や作戦を立てる必要はなく、アイデアや仮説を実行に移すことで展開できます。
「こうしてみたらどうかな?」「こういうことかな?」と考えたことを実行し、「観察と省察」「一般化・概念化」「適用・応用」とサイクルを回すことによって得られる気づきや学びは、仮説やアイデアをより現実的なものに変えられます。
さらに、スポーツのように、見通しが立てにくく、予想外のことも発生するといった「やりながら考える」ことが求められる場面でも、むやみやたらに思いつたことを実践するのではなく、サイクルを素早く回し続けることで、解決に至る糸口が見い出しやすくなります。

【同じミスを繰り返す可能性を減らせる】

最もシンプルで分かり易いメリットは、同じミスを繰り返さないようになることです。
発生した事実についてサイクルを回せば、そのミスが発生しないアイデアや方法を考え、試せるので、同じミスを何度も繰り返してしまう可能性は格段に減らせます。
元ロッテの投手・黒木知宏氏も「同じミスを何度も繰り返したら、『財産になっていないじゃないか』と思われちゃいますから」と述べています。
ここでの学びを蓄積することで、同様、同類のミスを防ぐことにもつながります。

【知っている、やったことがある、を「できる」へ】

トップ選手のプレーや書籍などで得た知識は、そのままでは単に「知っている」というレベルでしかありません。また、過去にやったことがあることも「知っている」状態で留まっている場合があります。
こうした「知っている」を私たちは経験学習のサイクルを通して「できる」に昇華させられます。
いくらいろいろなことを知っていたとしても、それを実際に使えなければ、単なる知識でしかありません。
自ら実際にやってみて、省察し、さらに考え、もう一度やってみる、というサイクルを繰り返すと、単なる知識だったものを「できる」に自ら変えられるのです。

【自分のものにする、持論にする】

もう一つ重要なのが「持論化」です。
経験学習サイクルを通して得た気づきや学びを、実際に他の場面や状況に「適用・応用」するプロセスで、自ら修正や改善を加えられ、自分なりの「やり方」「考え方」を見い出せます。
これは、指導者や先輩からの指導や指摘にも当てはめられます。
その言葉通りに実践するだけではなく、実践した経験から得たことを、自身の状況に当てはめてみる解釈を加えると、自分なりの「やり方」「考え方」になります。
自ら獲得した「やり方」や「考え方」は、自ら身をもって行動、思考して得られた「学び」であり、自身の言葉で語ることのできる「持論」として構築されていきます。

ただ、ここで終わりではありません。
自らの「やり方」や「考え方」について、持続的にサイクルを回し続けると、改善や修正を加え、精度を上げ、再現性を高められます。
また、時代の変化や置かれた状況に対応できるよう、さらに進化、発展させることもできます。

経験学習のサイクルは実践しやすい考え方であり、回し続けることによって私たちは成長し続けることができます。

「われわれは成功もするけど、失敗もする。
重要なのは、そうした全ての経験から学ぶこと。
それが唯一われわれを上達させる。」
デレク・ジーター
※MLBを代表するスーパースター。NYヤンキース一筋で長年活躍した元メジャーリーガー

 

【プロフィール】
門田卓史(もんでん たかし)
(株)edu-activators(エデュアクティベーターズ) 代表取締役
1975年広島生まれ、2016年より現職。アドベンチャー教育、体験教育を背景に、企業や大学、学校教育、スポーツなど幅広い分野に対し、チームビルディングや組織開発、人材育成、ファシリテーション研修などを提供。理論や経験に基づく知識を提供するだけでなく、体験・体感型のワークを通し、受講者自身の気づきから学びを促す納得度の高い参加型の研修を展開。スポーツ分野においては、日本サッカー協会A級ライセンス講習会、日本バスケットボール協会S級ライセンス講習会において講師を務めるほか、サンフレッチェ広島スクールが『人としての成長』を目的に開催されるキャンプの企画運営を担うなど、成長をテーマとした研修を提供している。

コラムVol.4