9月に入り、初の規定打席に到達したカープ坂倉将吾。11日時点で打率.322をマークし、DeNAのオースティン(.324)に次いでリーグ2位をキープ。プロ5年目にして持ち前の打撃力を存分に発揮している。

 坂倉はどのような考えで成長を遂げてきたのか。ここでは、坂倉プロ入り後の軌跡を「広島アスリートマガジン」で過去に掲載した記事を元に改めて振り返る。今回は2017年のルーキー時代、ファームで奮闘していた当時の心境を本人、そして当時の水本勝己二軍監督(現オリックスヘッドコーチ)の言葉を交えた記事を振り返る。(広島アスリートマガジン2017年8月号掲載)

プロ1年目から二軍で結果を出していた坂倉将吾選手(写真は2017年の様子)

◆高卒ルーキーながらも明確な目標設定

 やはり並みのルーキーではない。並外れた打撃センスを評価され、二軍で試合出場を続けている坂倉は現在の打撃についてこう語った。

「調子自体は悪くないと思いますが、バットがうまく走らなくなってきています。数字を維持するためには何か対策をしないといけませんね」

 シーズンも半ばに突入し未だ3割近い打率を維持しながらも、自らのスイングに生じたわずかなズレを感じ取っていた。高い打撃力はさる事ながら二軍首脳陣が坂倉について最も評価しているのは、野球に取り組むその姿勢だ。地道な練習に黙々と取り組み、それを継続していく。

 水本勝己二軍監督も「あれだけ自分で考えて練習している選手は今まで見た事がない」と目を見張る。

「長打率は低いかもしれませんんが、あまり気にしていません。それよりも今年は安打数80を目標にしています」

 ルーキーとしては高い目標設定だが、すでに50近い安打を放っている坂倉であれば決して実現不可能な数字ではない。

「打撃のイメージとしては、野手の間を抜いたり、外野の頭を越したり、自分がそういう中距離打者になるというイメージはできています」

 毎年のように、新たに活躍する生え抜き野手たちが台頭するカープ。リーグ屈指の育成力を持つ球団の力と、十分な伸び代を持つ坂倉の才能が混じり合った末にはきっとリーグを代表する選手が誕生しているはずだ。