栗林良吏、森浦大輔と共に開幕一軍入りを果たすと、リリーフに先発にフル回転。一番の武器である伸びるストレートで打者に真っ向勝負を挑み、結果を残してきた。しかし、シーズン後半戦に入ると本来の投球は影をひそめ、痛打を浴びる日が続いた。8月下旬にプロ初の二軍降格。課題解消に向けて取り組む大道温貴の声を届ける。
※取材は9月上旬。数字はすべて8月16日現在。

本来のストレート復活に向けて、二軍で調整を重ねる大道温貴投手。

◆真っ向勝負してきたストレートを取り戻す

─二軍降格以降、どんな課題を持って練習に取り組んでいますか?

「一番は本来のストレートを取り戻すことを考えています。後半戦は真っ直ぐでファールが取れていませんでした。それだけノビもキレも落ちていたのだと思います。(一軍で)後半戦に先発した2試合は、ゾーンギリギリで勝負しないとアウトが取れない状態でした。真っ直ぐの球速が出ている時は、四球も気にならなかったのですが、球速が落ちたことで、〝打たれたらいけない〟と思い四球も増えてしまいました。僕はストレートで勝負していかないといけない投手なので、まずはそこを重点的に取り組んでいます」

─ストレートの質が落ちた原因はどう考えておられますか?

「投球フォームの乱れだと思います。知らず知らずのうちに疲労が蓄積されていたのかもしれません。疲れていてもフォームが崩れていなければ良い球を投げることができるのですが、フォームが崩れたのを修正できないまま投げてしまっていました。なので二軍ではフォームを直すことにも取り組んでいます」

─投球フォームのズレを感じたのはいつ頃からですか?

「五輪中断期間中に行われた紅白戦(7月24日)からです。紅白戦で投げた時に『あれ? なんか違う』と思いました」

─前半戦最後の登板(7月10日・ヤクルト戦)は7回無失点の素晴らしい内容でした。登板期間が空いたことによる影響があったのかもしれませんね。

「良い形で前半戦を終えたので悔しかったですね。紅白戦も結果は良かったのですが内容はまったくでした。真っ直ぐが走らず、マウンドで『あれ? あれ?』と困惑していました。続くエキシビションマッチのソフトバンク戦(8月9日)も6回を1失点に抑えることができたのですが、違和感は拭えませんでした」

─その違和感について投手コーチに相談はされたのでしょうか?

「永川(勝浩)コーチも自分の投球ができていないことに気付いていて、このままだと後半戦は良い投球はできないだろうと2人の意見が一致していました。なんとかしようと取り組んだのですが、後半戦初戦の阪神戦(8月15日)は3回までに72球を要して降板することに。この試合はとにかく自分の力感と球速が一致しませんでした。全力で投げた球が141キロしか出ないのに、そうではない時に148キロが出る。思考と現実が一致せず、さらに迷いが生じてしまいました。前半戦は配球を考える余裕があったのですが、後半戦は捕手のミットに投げるので精一杯という感じでした」

─二軍降格の際は、投手コーチからどういった言葉をかけられましたか?

「永川コーチと横山(竜士)コーチから、ストレートが戻れば一軍のチャンスも戻ってくると思うよと言われたので、自分の武器を取り戻したいと思います」

◆プロフィール
大道温貴 12
■おおみち・はるき ■1999年1月20日生(22歳)■180cm/80kg
■右投右打/投手 ■埼玉県出身 ■春日部共栄高-八戸学院大-広島(2020年ドラフト3位)