新人ながら、開幕からリリーフに先発にフル回転を続けた大道温貴。力強いストレートで打者に真っ向勝負を挑み、結果を残してきた。しかし、シーズン後半戦に入ると本来の投球は影をひそめ、痛打を浴びる日が続いた。8月下旬にプロ初の二軍降格。二軍で鍛錬を重ねる大道温貴の声を届ける。
※取材は9月上旬。数字はすべて8月16日現在。

今季一軍で24試合に登板し、4勝をあげている大道温貴投手。

◆以前より一皮剥けたと思ってもらえるように

─交流戦の最中に、リリーフから先発に役割が変わりました。先発転向を言い渡された時はどんな思いでしたか?

「プロに入った時から先発は憧れだったので、佐々岡(真司)監督に先発を言われた時は『うれしいです』と答えました」

─リリーフでの経験が先発に活きていると感じることはありますか?

「リリーフで短いイニングを集中して投げていたので、先発になってからも目の前の1イニングを無心で投げることができています。それは良かったと思います」

─プロ初先発のオリックス戦(6月11日)は5回を無安打無失点。無心の投球が活きたというわけですね。

「最初は緊張からか、体が硬くなって自分の球を投げることができなかったのですが、目の前の打者に集中することで徐々に意図した球がいくようになり、良い投球につなげることができました」

─6月26日の中日戦で先発として初勝利。お父様から祝福のメッセージが届いたと聞きました。

「球場で観戦していたようなのですが、『目の前で先発初勝利を見れて良かった』と父親が言ってくれました。結果が良かったオリックス戦も7月のヤクルト戦も球場で見てくれていたみたいなので、こういった良いパフォーマンスの試合を届けていけるように頑張りたいです」

─同期入団の栗林良吏投手、森浦大輔投手に遅れを取るわけにもいきません。

「栗林さんから『最近、全然明るくないぞ』と言われていて、二軍降格が決まった時は、『温貴の笑顔が見たいからしっかり頑張れ』と言っていただいたので、早く同じ舞台に戻ってきたいと思います」

─プロで初めての二軍生活。今の時間は大道投手にとってどんな時間ですか?

「早く一軍に上がらないといけないという焦りもありますが、二軍ではいろいろなことに取り組める時間があるので、いろんな人の意見も取り入れながら、レベルアップしていきたいと思っています。ストレートを取り戻せば一軍で勝負できると思うので、とにかくそこですね」

─大道投手が一軍のマウンドに戻ってくる日を楽しみにしているカープファンの方は多いです。最後に意気込みをお願いします。

「一軍で投げる日が来たら、その時は、以前よりも一皮剥けたと思ってもらえる投手になっていたいです。ファンのみなさんに、そういう雰囲気を感じ取ってもらえる投手になって一軍に帰ってきたいと思っていますので待っていてください。焦らず地道に鍛錬を重ねていきます」

◆プロフィール
大道温貴 12
■おおみち・はるき ■1999年1月20日生(22歳)■180cm/80kg
■右投右打/投手 ■埼玉県出身 ■春日部共栄高-八戸学院大-広島(2020年ドラフト3位)