カープは本日から首位ヤクルトと2位阪神との4連戦を迎える。昨日、巨人がDeNAに勝利したため、ゲーム差は3.5に広がった。カープが10月21日のヤクルト戦に敗れると、CS進出の可能性が消滅する。

 運命の4連戦の先陣をきるのは大瀬良大地。後半戦だけで6勝をあげ、現在9勝(5敗)。調子を上げてきているだけに、エースにかかる期待は自然と大きくなる。

 CS進出へ、わずかでも可能性が残っている限り最後まで諦めない。ここでは、投手陣を牽引する大瀬良が、開幕前に語っていた意気込みを再編集してお届けする。手術明けの今シーズン、投手キャプテンに任命された大瀬良が抱いていた決意とは。
(広島アスリートマガジン2021年4月号で行ったインタビューをもとに編集)

エースとして、投手キャプテンとして、カープ投手陣を牽引する大瀬良大地投手。

◆投手キャプテンとしていい手本となれるように

─3連覇を果たした頃に比べると、チームの顔ぶれが変わりつつあります。投手野手問わず、若い選手とのコミュニケーションで意識されていることはありますか?

「自分でしっかりと考えて練習している選手が多いので、僕から何か言うこともないのですが、それぞれが取り組んでいることに対して意見を求められたらアドバイスをするようにしています」

─大瀬良投手がプロ野球選手になりたての頃と比べて、いまの若い選手の姿はどう映っていますか?

「若い頃の僕よりも、今の若手選手はトレーニングに関する知識量が多いですし、その情報を生かしながら、実践と失敗を繰り返し、成長しようとしているなと感じています。これだけ情報が多い社会のなかで、自分に必要なものを取捨選択していく難しさはあると思いますが、いろんなことにチャレンジしていく姿勢は素晴らしいなと思って見ています」

─今季から投手キャプテンに就任され、投手陣をまとめていく役割が期待されています。キャプテンマークをつけたことで、心境面で何か変化はありましたか?

「数年前から投手陣を引っ張っていける存在になりたいと思い過ごしていたので、心境面で大きく変わったところはありません。ただ、これまで以上に、選手同士でしっかりとコミュニケーションをとろうという気持ちは強くなりました」

─佐々岡真司監督からキャプテンの打診を受けた時はどのように感じましたか?

「監督からキャプテン制度をつくろうと思うと言われたときは、正直驚きました。ユニホームに『C』マークがつくということで、より周りから見られる立場になると思いますし、プレーはもちろんですが、普段の姿でも見本になれるようにやっていかないといけないと思っています」

◆柔軟性を生かし強く速い球を

─手術明けのシーズンとなります。今季に向け、自主トレから意識して取り組まれたことを教えてください。

「今年は30歳になりますし、20代の頃と比べて体の変化も感じていたので、このオフは筋肉量を維持しながら体重を5キロ近く落としました。またこれまでは、筋力をつけて、力で強く速い球を投げようと取り組んできましたが、昨年の手術をきっかけに、柔軟性を生かし体をうまく使うことで、そういった球を投げられるようにと考えるようになりました」

─春季キャンプは二軍からスタートしました。このキャンプで取り組まれたことを教えてください。

「新たに取り組んだことは特にありません。とにかく右肘と体の状態を最優先に考えていました。体が万全の状態であれば、これまで以上の球を投げられるという感触があったので、ペナントレースに向けて体の状態を上げていくことだけを考えて過ごしました」

─復活を期すシーズンとなります。今季にかける意気込みを教えてください。

「開幕のマウンドに立たせていただけるので、まずは今年1年間、ケガをせず、先頭に立ってチームを引っ張っていきたいと思います。また、投手キャプテンにも選んでいただいたので、野手キャプテンの(鈴木)誠也と選手会長の(田中)広輔さん、そして頼もしい先輩たちと一緒に、しっかりコミュニケーションをとって、これまで以上のチームをつくっていきたいと思います。そして最終的には、もう一度、満員のスタジアム、カープファンのみなさんで埋まった赤一色の球場で投げたいです。その日が戻ってきたら幸せですし、いつか来るその日を目標に、いい試合をファンの方々に届けていきたいと思います」

◆プロフィール
大瀬良大地 14
■おおせら・だいち ■1991年6月17日生(30歳)■187cm/90kg   
■右投右打/投手 ■ 長崎県出身 ■長崎日大高-九州共立大-広島(2013年ドラフト1位)