3年連続でBクラスに終わったものの、今季のカープで目立ったのは若い力の躍動。小園海斗、栗林良吏、林晃汰などが一軍で大きな飛躍を果たした。ここでは、担当スカウトに聞いた、未来のカープを支えるキーマンたちの獲得の裏側を紹介する。今回は、鞘師智也スカウトに“隠し球選手”発掘の瞬間を聞いた。
◆一番惹かれたのは石原の野球に取り組む姿勢
2年目の今季、プロ初の一軍出場を果たすと、シーズンを通して60試合に出場した石原貴規(2019年ドラフト5位・天理大)は思い入れのある選手です。
当時、石原のもとには、12球団どこからも調査書が届いておらず、本人も社会人入りを考えていました。
ただ、私は石原は必ずプロで通用すると思っていました。なぜ他の球団は石原を見に来ないのかと思っていたほどです。
捕手としてのプレーももちろんですが、一番惹かれたのは石原の野球に取り組む姿勢です。とにかく真面目でストイック。周囲に聞いても同じ答えが返ってきたので、『他球団の評価は関係ない』と覚悟を決めて、球団に石原を推薦しました。
迷った時は自分の目で見たものを信じる、そのことを改めて教えてもらったことを含め、石原との出会いで学んだことは数多いです。
●鞘師智也(さやし ともや)
1980年5月6日生、大阪府出身。報徳学園高-東海大を経て、2002年ドラフト4巡目でカープに入団。現役時代は俊足巧打の外野手として活躍した。2010年限りで現役引退すると、翌2011年からスカウトに転身。現在は主に関西地区を担当し、岡田明丈、小園海斗、林晃汰らの獲得に成功した。今年のドラフトでは、黒原拓未(ドラフト1位)、森翔平(ドラフト2位)などを担当した。