12月15日、「NPB AWARDS 2021」が行われ、セ・リーグの最優秀新人賞(新人王)に栗林良吏が選ばれた。

 栗林はプロ1年目の今季、クローザーに抜擢されると開幕から大車輪の活躍。球団新記録となる開幕から22試合連続無失点、新人最多記録に並ぶ37セーブなど、数々の記録を樹立すると、東京五輪では侍ジャパンのクローザーにも抜擢され、悲願の金メダル獲得に大きく貢献した。今シーズン、救援に失敗したのはわずか1度。驚異のリリーフ成功率を誇るなど、わずか1年足らずで日本を代表する投手へと成長した。

 広島アスリートマガジンでは、ドラフト会議終了後から、4度にわたり、栗林を取材。ここでは、「編集部セレクション」として、カープの守護神に成長した栗林が、プロ1年目に話した言葉を振り返る。

 ドラフト直後のインタビューに続き、今回はペナントレース開幕直後に行なった独占インタビュー(後編・中編はこちら前編はこちら)。プロ初登板となった3月27日の中日戦で栗林の緊張をやわらげたのはカープファンの存在だった。(『広島アスリートマガジン』2021年5月号で行なったインタビューをもとにWEB用に編集)

プロ1年目から守護神の役割を全うした栗林良吏。

◆目標は守護神として1年間しっかりやること

─重圧という面ではドラフト1位というプレッシャーも感じる時があるのではないかと思います。そういった期待とはどう向き合っていますか?

「いまはドラフト1位の重圧は全くありません。クローザーを任された以上、自分が抑えたらチームが勝ち、同点の場合だとチームは負けません。チームに黒星をつけないのが自分の役目です。負けをつけられない重圧はもちろんありますが、頼もしい先輩方がたくさんいるので、バックを信頼し、チームメートやファンのみなさんの思いを力に変えて、チームの勝利に貢献していきたいと思っています。重圧と捉えるのではなく、“期待に応えたい”という意識でマウンドに上がるように心がけています」

─開幕2戦目の3月27日の中日戦(マツダスタジアム)で、守護神としてのプロ初登板が巡ってきました。張り詰めた空気のなか、相手打線を三者凡退に抑えてプロ初セーブをマーク。最高の結果と共にプロ野球選手としてのスタートを切りました。

「もちろん緊張もありましたが、投球練習を終えてブルペンを後にするとき、永川投手コーチを含めて、リリーフのみなさんが激励の拍手と共に見送ってくれたことに勇気をもらい、グラウンドに入ると、カープファンのみなさんの大きな拍手が待っていました。その拍手の音を聞くと不思議と緊張はなくなり、“よし、やってやろう”と前向きな気持ちになることができました。そういう意味では、1人の力ではなく、たくさんの人に支えられてグラウンドに立たせてもらっているんだなと感じました」

─グラウンドに出ると白線の前で立ち止まりお辞儀をする姿。そして投球の際、マウンドで吠える姿が印象的です。

「大学、社会人とやってきた自分のスタイルなので、それはカープの一員になってからも変えずにやっていきたいと思っています」

─お辞儀をするときは、心の中でどんな言葉を言われているのですか?

「“お願いします。抑えさせてください”と神頼みをしています」

─今季の目標を教えてください。

「キャンプが始まるまでは、開幕一軍に入り、1年間一軍でプレーすることが目標でしたが、いまは、1年間しっかりと守護神としてやっていく目標を加えています。そういう意味では、良いスタートが切れたと思いますし、1年間しっかりと結果を残していくために、体のコンディションを含めてしっかりと調整していきたいと思います」