スポーツジャーナリストの二宮清純が、ホットなスポーツの話題やプロ野球レジェンドの歴史などを絡め、独特の切り口で今のカープを伝えていく「二宮清純の追球カープ」。広島アスリートマガジンアプリ内にて公開していたコラムをWEBサイト上でも公開スタート!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ポスト鈴木誠也は誰か⁉ 

 カープにとってはそれが今キャンプ、いや今シーズン最大の課題である。5年目の中村奨成、4年目の正随優弥、そしてドラフト3位ルーキー中村健人、6位ルーキー末包昇大らが候補に上がっているが、誠也の抜けた穴は途轍もなく大きい。

 そこへ行くと横浜DeNAはうまくいった。2年前、筒香嘉智(現パイレーツ)が海を渡った時、しばらくその穴は埋まらないかと思われたが、4年目(当時)の佐野恵太が首位打者を獲る大活躍で“筒香ロス”のダメージを最小限にとどめた。

 カープにも佐野のような選手が現れれば御の字だが、現時点では帯に短し襷に長し。個々の奮起を待つしかあるまい。

 最悪の場合、4番は日替わりでもいいと考えている。セ・リーグ優勝を果たした山本浩二監督3年目の1991年、カープは期待していたロッド・アレン、タイラー・バン・バークレオの両外国人が期待はずれで、後半からは代打男のイメージが強かった西田真二を4番に抜擢した。浩二は西田の勝負強さに賭けたのである。それが功を奏した。

 このシーズン、カープのホームラン数は88本で、リーグ5位。入団3年目の江藤智の11本が最多だった。貧打を補って余りある強力投手陣が優勝の原動力だった。

 誰あろう、この年のリーグMVPが17勝9敗、防御率2.44の好成績で最多勝、最優秀防御率、沢村賞などに輝いた入団2年目の佐々岡真司現監督である。

 誠也が抜けたとはいえ、幸いにして91年よりはまだ打線に期待が持てる。オーダーを固定する必要はない。昨年のオリックスのような“猫の目打線”でもいいじゃないか。その意味で打撃コーチの責任は重い。

(広島アスリートアプリにて2022年2月7日掲載)

毎週月曜日に広島アスリートアプリにてコラム「追球カープ」を連載中。
※一部有料コンテンツ

▼二宮清純の人気コラム等を多数掲載!ウェブサイト「SPORTS COMMUNICATIONS」はこちら▼

----------------------------------------------------------------------------------

二宮清純(にのみや せいじゅん)
1960年、愛媛県生まれ。明治大学大学院博士前期課程修了。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。ちゅうごく5県プロスポーツネットワーク 統括マネージャー。フリーのスポーツジャーナリストとしてオリンピック・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。『広島カープ 最強のベストナイン』(光文社新書)などプロ野球に関する著書多数。ウェブマガジン「SPORTS COMMUNICATIONS」も主宰する。