昨季は85試合の出場に終わり、7年ぶりに100試合を切った。体を支配した悔しさが、松山の意識を変えた。自主トレで減量に成功し、生まれ変わった体で春季キャンプに突入。世代交代が進むチームだが、まだまだ若い選手に負ける気はない。鈴木誠也に代わる4番の期待も懸かるスラッガーの決意に迫った。
(全3回のうち1回目・取材は2022年2月上旬)

春季キャンプは二軍スタート。若手野手にとって、広角に強い打球を打ち分ける松山竜平の巧みなバットコントロールは良い見本になったはずだ。焦らずに調整を重ね、ペナントレース開幕に照準を合わせていく。

◆もう一度しっかりと動ける体をつくる

─まずは自主トレの話から伺います。6キロ近く減量したそうですが、自主トレにはどういう課題を持って取り組まれたのでしょうか?

「〝もう一度しっかりと動ける体をつくる〟というテーマを持ってトレーニングを重ねてきました。体重を落としたことで、体がより引き締まった感覚はあるので、その良い感覚をプレーに活かしていきたいと思っています」

─自主トレでは、野球以外のスポーツにも取り組むメニューをこなしていると聞きました。他競技の動きを練習に取り入れたのは松山選手による発案ですか?

「もともとはお世話になっているトレーナーさんの提案です。主には、バドミントンの動きを取り入れた瞬発系のトレーニングが多いのですが、自主トレでは毎年行っています。バドミントンは、動きの激しい瞬発力が必要なスポーツですし、野球でも瞬発力は大事になってきます。他にもいろいろな競技を参考に、さまざまなメニューに取り組んでいます」

─今年も林晃汰選手と一緒に自主トレを行われました。この自主トレはどういった経緯で実現したのでしょうか?

「林とは今年で3回目の自主トレですが、もともとは、僕が二軍にいた時に、コーチの方から『林の面倒を見てやってくれないか』と言われたのがきっかけです。それで僕のほうから、林に声をかけてみたら『ぜひ一緒にやりたいです』と返ってきたので、それ以来、毎年自主トレをするようになりました」

─その林選手ですが、3年目の昨季、一軍で結果を残しました。何年も自主トレを行っている松山選手から見て、林選手の魅力はどんなところでしょうか?

「やっぱり一番は〝飛ばす力〟でしょうね。林は体が大きいので、飛ばすことにおいては高いポテンシャルを感じます」

─プロで年数を重ねるごとに、成長していると感じることはありますか?

「そうですね。最初のうちはけっこう粗さがありましたし、落ちる球に弱い部分も見られたのですが、特に昨年に関しては、それを改善して、きっちりと(落ちる球を)拾えるようになってきました。また、引っ張るだけではなく、逆方向にも強い打球を飛ばせるようになってきていると思います」

─その林選手ですが、松山選手のようなスイングスピードを身につけたいと言われていました。スイングスピードを上げるために、ラプソード(トラッキングシステム)などの機械を使い、数値で測定・分析するなど、何か特別な取り組みはされていますか?

「僕はそういった機械はほとんど使っていません。意識しているのは、納得するまでバットを振り込むことだけです」(続く)

◆松山竜平(まつやま りゅうへい)
1985年9月18日(36歳)/鹿児島県出身/176cm・100kg
右投左打/外野手/鹿屋中央高-九州国際大-広島(2007年ドラフト4巡目)