3月25日の開幕に向け、各球団ともに徐々に調整のペースを上げている。オープン戦を戦うカープでも多くの選手がしのぎを削っているが、ここに来て大逆転での「開幕スタメン」も見えてきたのが、プロ4年目の大盛穂だ。キャンプ前は野間峻祥、宇草孔基の一騎打ちと見られていたセンターのレギュラー争いに参戦する大盛は、果たして開幕スタメンを勝ち取ることができるのか。

俊足巧打が魅力の大盛穂。4年目の今季、レギュラー奪取となるか。

◆ライバルがアピールに失敗。打撃で結果を残せるか

 存在感は、日に日に増している。

 3月6日の西武戦では途中出場ながら同点の9回に三塁打を放って勝ち越しのホームを踏み、8日からは3試合連続でスタメン出場。11日終了時点でのオープン戦打撃成績は16打数6安打1本塁打、打率.375。

 プロ4年目の大盛穂が、自身初の開幕スタメンへ向け猛アピールを続けている。

 高校、大学時代は全国的には無名の存在。それでも持ち前のスピードと高いコンタクト能力を評価され、2018年ドラフトで広島から育成1位指名を勝ち取った。

 1年目のオフに支配下登録されると、2年目の7月24日に初の一軍登録。後半戦は1番で先発出場する機会も増え、「ブレイク候補」のひとりに躍り出た。

 しかし、昨季は代走・守備固めでの出場が続き、出場機会も大幅ダウン。4年目の今季が「勝負の年」なのは自身が誰よりも理解している。

 もともとポテンシャルは高く評価されていた。遠投120メートル、50メートル走6秒0の身体能力はチーム内でも屈指。「課題」とされた打撃でも昨季は限られた出場機会で打率.270を記録した。

 迎えた今季、まだオープン戦の段階だが目に見えた変化が「打球の力強さ」だろう。

 オープン戦で放った6本の安打のうち、4本が長打(本塁打1本、三塁打1本、二塁打1本)。外野の頭を超す打球はもちろん、鋭い弾道で外野の間を抜け、持ち前のスピードで長打にする「中距離打者」としての資質が開花しつつある。

 センターの定位置は野間峻祥、宇草孔基が最有力と見られていたが、二人とも決め手がなくアピールに失敗。その間隙を縫って一躍、レギュラー候補に躍り出た。

 チームは鈴木誠也の移籍でただでさえ外野の枠が「1」空いている状況。戦力ダウンは必至だが、若手にとってはチャンスでもある。

 昨季終盤は鈴木誠也の「代走」で出場する機会が多かった大盛だが、今季は鈴木誠也の「代役」として外野レギュラーの一角を目指す。

 開幕まであと2週間足らず。カープのセンターレギュラー争いの行方は、果たして――。