高卒1年目から一軍の先発マウンドを経験した期待の右腕。エースの遺伝子を持つ男は、昨季の貴重な経験を糧に2年目の今季、先発ローテ争いに加わることが期待される。母校での自主トレから始動した2022年シーズン。10代でのブレイクへ。小林樹斗の挑戦が幕を開ける。(全3回のうち2回目・取材は2022年2月上旬)

昨年、9年ぶりに、高卒ルーキーとして初登板初先発。優勝したヤクルト打線から6三振を奪うなど、大器の片鱗を見せた小林樹斗。キャンプのブルペンでは、連日、精力的に投げ込む姿が見られた。

◆投手として成長した考える力

(1回目から続く)
─1年目のシーズンについて伺います。昨季は二軍で8試合に登板し、一軍の最終戦となった11月1日のヤクルト戦(神宮)ではプロ初登板・初先発を果たしました。4回途中まで投げて6失点(自責点4)。この結果をどう受け止めていますか?

「チャンスをいただいたにも関わらず、本当に悔しい思いをした試合でした。初回と2回はうまく抑えることができた(2イニング連続三者凡退)のですが、3回以降は走者を背負う投球が続いてしまいました。結局そこから崩れてしまい、序盤のリードをひっくり返され大量失点につながってしまいました。投手としての心構えの面でも技術の面でも、まだまだだと痛感しましたし、1年間シーズンを通して戦い抜くことの大変さを感じた試合でもありました。初めての一軍登板となったヤクルト戦を通して感じたことは、とにかくたくさんあります。経験させていただいたことをプラスに捉えて、今シーズンに活かしていきたいと思っています」

─1年間、一軍・二軍を含めてプロの舞台で投げてきて、高校時代からどんなことが成長したと思いますか?

「自分の持ち味はストレートだと思っています。一軍の試合でもストレートでファールをとれたり、空振りを奪うこともできたので、それに関しては手応えを感じています(11月1日のヤクルト戦で6奪三振)。あと大きく変わった点でいくと、打者を打ち取るためにはどうしたらいいかをこれまで以上に考えるようになりました。打者の反応を見て、それをもとに攻め方を工夫するなど、考えながら投球することが増えました。そこも投手として成長した部分だと思っています」(続く)

◆小林樹斗(こばやし たつと)
2003年1月16日(19歳)/和歌山県出身/182cm/84kg
右投右打/投手/智弁和歌山高-広島(2020年ドラフト4位)