開幕戦以降、投打の歯車が噛み合い、カープらしい戦いが続いている。ここでは、シーズン開幕前に、カープOBの笘篠賢治氏に語ってもらった、混戦を勝ち抜いていくためにカープが目指すべき野球について取り上げる。
※取材は3月中旬。

首脳陣、選手、スタッフの結束を高め、一体感のある野球の展開に期待がかかる。

◆開幕ダッシュの成功が上位進出の鍵に

 相手チームに怖さを与えるという意味では実績のある中堅・ベテラン野手の存在も大事になってきます。

 若手中心のオーダーになると、相手チームに怖さを与えることができません。だからこそ、西川龍馬が一軍に上がってきた時は、その存在感が光っていました。そういう意味でも、中堅・ベテラン野手の力は重要になってくると思います。

 投手陣はある程度、期待ができるだけに、ビハインドの展開であっても、いかに僅差の試合に持ち込んでいけるかが大事になってくると思います。それだけに首脳陣が「今年はこういう野球をやるんだ」「こういう粘りを見せていくんだ」というビジョンを示していくことができるか。相手チームに、カープは最後まで何を仕掛けてくるか分からないと感じさせ、負けない野球をしていかなければならないと思います。

 今年のセ・リーグは大混戦の予感がします。どのチームも、優勝もあれば最下位もあるという状況ですから、しっかりとした野球を展開していく必要があります。

 まずは開幕後の一カ月でいかに出遅れないようにスタートダッシュを成功させるか。最初に取りこぼしが多いようだと、そこから追い上げていくのはかなり厳しくなることが予想されるので、大きな連敗は絶対に避けなければなりませんし、逆に連敗をしないチームが上位に生き残っていくのではないかと思います。

 現状のカープの戦力を冷静に見ると、若手を積極的に起用し、レギュラー奪取のチャンスが数多くあるのは一見楽しみなようにも見えますが、裏を返せば、戦力がそろっていないという見方もできます。そういう意味では、開幕してからどんなメンバーで戦っていくか注目していきたいですね。

 カープファンのみなさんは、野球をよく知っている方が多いでしょうから、カープに対して、どんどん愛のある叱咤激励をしてほしいと思います。佐々岡真司監督にとっては3年目のシーズン。カープらしい野球を届けてくれることを期待しています。