150キロ超の快速球と、安定した制球力を武器とするカープの新外国人投手のアンダーソン。NPBデビュー戦では7回1安打、7奪三振、無四球無失点で来日初登板・初勝利を飾り、カープファンに強いインパクトを残した。

『勝つこと、優勝することが自分たちのゴール』

 そう語る長身右腕には、先発陣の助っ人としてさらなる期待がかかっている。アンダーソンの今と、その素顔に迫った。(数字は6月16日現在)

5月22日の中日戦では、お立ち台で「カープのファンが一番じゃけぇ!」とコメントし、スタンドを沸かせた。

◆異国の地で勉強と分析の日々。ケガをしないことを心がける

─5月5日の巨人戦で先発として来日初登板を果たして以来、ここまで自身の投球、プレーについてどのように感じていますか?

「新しい国、新しいリーグで野球にチャレンジしているわけですが、今は順調に進んでいると感じています。打者に対しても、勉強や分析をしながら登板を迎えています。また日本という異国の地で、新たなライフスタイルにもしっかりと適応できていると思うので、自分としてはすごく順調にこの環境の変化に対応できていると感じています」

─来日初登板は7回無失点と素晴らしい投球でした。改めて、初登板の内容について感想を聞かせてください。

「あの日はストレートが通用したと感じています。しっかりとした強いストレートを、ゾーンの中に投げ込んで打者を翻弄できたのではないかと思います。また変化球でストライクが取れたということも好投につながった大きな要因だったと思います。カーブも織り交ぜて変化をつけることができましたし、自分の球種を調子良く投げられたからこそ、あのような良い結果につながったと思います」

─ここまで全て先発として(6月16日現在)登板しています。先発する上で意識していることはありますか?

「特に気をつけていることは、長いシーズンの中でケガをしないということです。チームに迷惑をかけないように、常に健康で、自分の登板を飛ばさず先発ローテーションの中で投げるということを心掛けています。また登板までの間の調整は、十分なストレッチを行い、ルーティンのランニングとウエートもある程度こなし備えています。他の先発投手と比べて、変わったことはあまりしていないですね」

─カープの先発投手陣について、どのような印象を持っていますか?

「素晴らしい先発投手たちだと思います。成績はもちろん、数字の部分、性格的な部分も申し分ないです。投手キャプテンの(九里)亜蓮は、よく声をかけてくれて、いろいろと接してくれます。また大瀬良たちも良い形で動いてくれていて、亜蓮や年上の選手が一生懸命頑張ることで、その他の若い先発投手も先輩から良い影響を受けて、育っているのではないかと感じます。一人ひとりがそれぞれの個性を試合で全面に出して、自分自身の投球や、仕事を十分に遂行できていると感じますね」

─アンダーソン投手の担当スカウトはシュールストロムさん(元カープ投手)です。日本でプレーするにあたり何かアドバイスはあったのでしょうか?

「契約した後にいろいろと話をしました。彼も日本でプレーした選手ですので、外国人として日本でどういう経験をするか、どういうことに困るか、そういったアドバイスをもらった中で2つ印象に残っていることがあります。1つ目はどんな時も自分のベストを尽くすこと。2つ目は日本の文化について、たくさんリスペクトをすることです。彼のアドバイスは『これをしなさい』という義務的なものではなく、自身の経験から『こういったものはどうかな?』という良い形のアドバイスだったので、そのあたりはすごく感謝しています」(後編に続く)

《プロフィール》
ドリュー・アンダーソン
1994年3月22日生、アメリカ出身
190cm・93kg/右投右打/投手/28歳
ガレナ高-フィリーズ-ホワイトソックス-レンジャーズ-広島
【今季成績】
6試合 2勝2敗 31.1回 25奪三振 防御率5.17