カープの外国人投手では球団歴代最多となる、57勝を記録しているK・ジョンソン。

 海外出身選手としては史上2人目となる沢村賞を獲得するなど、3連覇に大きく貢献し、いまなおファンに愛される『最強助っ人左腕』だ。

 ジョンソンが日本で成功を収めた秘訣は、“オープンマインド”の精神にあった。 現役引退表明から約3カ月後、アメリカの自宅から届けられた最強助っ人左腕の言葉と共に振り返る。(前編。取材は2021年11月上旬)

石原慶幸が1000本安打を達成した試合(2018年5月11日・阪神戦)ではジョンソンが好投するなど、お互いを支え合い続ける名コンビだった。(写真は2015年9月10日)

◆「いなくてはならない存在だった」 捕手・石原が引き出した左腕の力

 カープ在籍の6年間で通算128試合に登板し57勝。球団史上初のリーグ3連覇に大きく貢献したジョンソン。全ての始まりは、来日初登板となった2015年3月28日のヤクルト戦(マツダスタジアム)だった。

 9回を1安打・無四球・7奪三振、圧巻の完封勝利で来日初勝利。

 「日本でやっていける自信が生まれた試合です。また、石原(慶幸)との付き合いが始まった試合でもあります。試合が始まる前、石原に『お前が出すサインには絶対に首を振らないから』と伝えました。その結果、完封勝利という結果がついてきて、これからの試合も、彼のサインを信じて投げれば良い結果が生まれるに違いないと感じたのを覚えています」 ジョンソンの日本での活躍を語る上で捕手・石原の存在は欠かせない。左腕も「自分にとって、いなくてはならない存在でした」

 左腕がそう断言するほど、ジョンソンと石原は、6年間の間に何度も2人で修羅場をくぐってきた。

 石原がマスクをかぶることで左腕のパフォーマンスは最大限に引き出され、逆に石原が捕手でなければ、ここまでの成績を残せていなかったかもしれない。

 「石原の言う通りに投げていれば、自然と結果がついてきました。また、試合中に、打者が対策を変えてきていると感じると、すぐに配球を変えるなど、細かな気づきを感じ取れる素晴らしい捕手でした。石原とは私生活でも家族付き合いがありました。オンもオフも非常に仲良くさせてもらった選手であり、大切な友人です」

《プロフィール》
クリス・ジョンソン
1984年10月14日生・アメリカ出身
ウィチタ州大-パイレーツ-ツインズ-広島
2015年シーズンにカープに入団。来日初登板で1安打無四球の準完全試合を達成。1年目から14勝。防御率1.85で最優秀防御率のタイトルを獲得した。2年目の2016年は開幕投手を務め、自己最多の15勝。外国人では2人目となる沢村賞を獲得。2018年からは2年連続で2桁勝利を記録。6年間で球団の外国人投手では最多となる通算57勝をあげ左腕エースとして活躍した。
2020年シーズンオフにカープを退団。
2021年8月18日に球団を通して現役引退を発表した。