3年連続最下位と鬼門とされていた交流戦は、ここまで8勝8敗(16日現在)5割と健闘する新井カープ。ここではカープOB・笘篠賢治氏に、交流戦で見えた新井監督の采配や、ペナントレース再開に向けての注目選手について語ってもらった。
◆首脳陣の意図を感じる、思い切った采配
カープが苦手としてきた交流戦は、ここまで8勝8敗(6月16日時点)勝率5割と、例年に比べて踏ん張っている結果を残しています。先日解説の仕事でマツダスタジアムに行った際、交流戦について新井監督は「負けていたのは過去のこと。今年はワクワクしている」と言っており、個人的にも期待して見ていました。
ここまでの戦いを見ていると、新井カープはパ・リーグ相手の戦略として、初球から積極的に振りにいく姿勢が感じられます。それは、エース級の投手であったとしても、じっくり見て、受け身のスタンスでいるのではなく、ミスショットでも空振りでも良いから“とにかく攻める”という方向性です。
なかでも6月11日のロッテ戦で佐々木朗希投手が先発した試合では、菊池涼介を休ませる意味もあったかと思いますが、足を使いながら攻略するという戦略を込め、羽月隆太郎をスタメン起用しました。そしてまた羽月自身もその期待に応え、160キロ超のストレートに食らいつき、反撃のきっかけとなるタイムリーを放つシーンがありました。
このようなシーンを見ていると、新井監督は思い切った采配ができているように感じます。選手任せではなく、監督やコーチ陣の意図があるため、それに選手が応えようと取り組んでいることが伝わってきます。この勢いのまま、1つでも多く交流戦での勝利を重ね、昨年までの嫌なイメージを払拭できるよう最後まで戦い抜いてもらいたいですね。
また、交流戦中にマクブルームの二軍降格がありました。新井監督が本人とコミュニケーションを取れているからこその決断であると感じます。相手チームからすると、マクブルームがベンチにいることは、数字は良くなくとも怖い存在であると思います。ですが、夏場以降の戦いを考えたとき、長い目で見て活躍をしてもらうためには、今二軍でリフレッシュさせるという決断を下し、前半戦の現段階から調整をさせるという新井監督の思考が感じ取れます。
マクブルームを春季キャンプから見ていると、昨季に比べて打撃フォームの重心がどっしりと下がっており、右方向にも強い打球が飛ぶようになっていました。あとはアジャストする感覚の問題だけだと私は見ています。リーグ戦再開に向けしっかりと調整し、再びクリーンアップで活躍する姿を見たいですね。