黒星発進となった『鬼門』の交流戦だったが、日本ハム戦では5年ぶりの同一カード3連勝を飾ったカープ。投手陣では先発・九里亜蓮、床田寛樹らの力投が光り、矢崎拓也・島内颯太郎・ターリーが試合終盤を引き締めるなど、徐々に勝ちパターンも確立されつつある。
OB・大野豊氏が、交流戦の戦いぶり、そしてシーズン後半戦への期待を、独自の『視点』で解説する。(取材は6月上旬)
◆坂倉の打撃が上向きに。主軸打者の爆発に期待
野手陣では、捕手に専念している坂倉将吾の打撃がかなり上向きつつあると感じます。6月8日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では貴重な一発を放ち、逆方向にも強い当たりが増えてきており、彼本来のバッティングスタイルを取り戻してきているのではないでしょうか。
そして両外国人です。マクブルームもこれから後半戦に向けて状態を上げてほしいですし、デビッドソンも二軍で結果を残して、再昇格を果たしました。打線はまだまだベストメンバーではないなかでチームは交流戦では健闘しているだけに、2人の調子が良くなればさらに期待できる状況になるのではないかと思います。
野球は点取ゲームといえども、取れる時に1点でも多く点を取って、守る時には1点でも失点を少なくする。その積み重ねが大切です。「あの時に1点取っておけば、あの試合で勝っておけば」という試合が、のちのち響いてくることも大いにあります。「勝って良かった」「負けて残念だった」だけで済ませることなく、その両方を考えながらシーズンを戦っていくことが必要でしょう。
◆終盤を締めるリリーフ陣。シーズン後半戦も安定感ある投球を
6月2日のソフトバンク戦では、栗林良吏が7回のマウンドに登板しました。新井貴浩監督からすれば、いきなりクローザーとして起用するのではなく、中継ぎで状態を上げてほしいという思いもあったのでしょう。それができるのも、矢崎拓也、島内颯太郎、ターリーといった、後ろで投げる選手が計算できるようになってきたからです。リリーフの強化は長年の課題でしたが、解決の兆しが見えてきたのは非常に良いことです。あとは、現在調子の良い投手たちが、この先の長いシーズンを良い状態で、安定した投球をしてくれるようになれば、監督としても非常に心強くなるでしょう。
栗林は、以前の状態に比べると間違いなく良くなっています。矢崎や島内が不調になったから栗林を抑えに戻す、という流れではなく、全員の状態が良いなかで抑えに戻ることがベストです。そして、リリーフの課題にある程度目処がついてきたのですから、先発陣には少しでも長く投げてもらい、極力失点なく、リードした状態でリリーフにつなげてもらいたいと思います。
「勝てる確率を少しでも上げる」以前からそうお話しているように、勝つ確率を上げるには、投手・野手の双方が、勝つために自分が何をするべきかを考えていかなければなりません。チーム全体で、それぞれの役割分担を考えていくことができれば、勝てる試合もさらに増えてくるでしょう。
投手陣に関しては、昨季よりも心配な点や不安な部分が少なくなりつつあり、これは大変心強いことです。後半戦も、大いに期待して応援していきたいと思います。