巧みなバットコントロールで“天才”と称されるカープ打線を支える西川龍馬。今季は背番号5に変更となり、高い打撃力を発揮し続けている。 名実共にカープの看板選手となった男に、自身の打撃論、そして今季のチームについて聞いた。(全3回・2回目)

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2023年シーズンより背番号5番をつける西川龍馬

◆開幕3連戦の結果を受け見直した打撃内容

─日南キャンプでは長打を意識して練習を重ねていたそうですが、その意図はどのような考えだったのでしょうか?

 「たくさんホームランを打つ選手も少ないので、『僕がもうちょっと頑張って長打を増やせれば……』というのが最初のきっかけで、オフに考えて、キャンプで実践しました。打球も飛ぶなと思っていましたし、最初は感覚が良かったんですけどね。昨年までは練習で『ある程度自分の形で打ち損じがなく』という意識だったので、打球を飛ばす意識はなかったですね。なので初めてくらいのチャレンジでした」

─シーズンに入ってから長打に対する意識に変化はあったのでしょうか?

 「ヤクルトとの開幕3連戦までは我慢してやってみようと思っていたのですが……本当にタイミングとか、なかなかしっくりこなかったので辞めましたね。開幕3連戦が終わってから『昨年までの形に戻そう』と思って、そこから徐々に状態が良くなっていきました」

─すぐに元に戻せる形というものがあったのですね。

 「キャンプ中も打球を飛ばす打ち方を練習しながらも、もしダメだったときのために、戻れるところは準備しておいたので。そこでうまく元に戻れたと思います」

─西川選手は打撃におけるコンタクト率の高さが話題となることが多いですが、普段はどのような感覚なのでしょうか?

 「追い込まれてからは基本的に『バットに当てればなんとかなる』と考えていて、追い込まれたらバットに当てにいく意識ですね。球を見極められたらそうしたいのですが、体が勝手に反応してしまうので。追い込まれるまでは空振りでもOKなんですけど、体が勝手に反応してバットに当ててしまうので、それはもったいないかなと思う部分もありますね」

─その意識はプロ入り前、プロ入り後で変わっているのですか?

 「バットに球を当てる意識というのは、プロに入ってからですね。社会人野球時代(王子)はあまり、そういう打撃ではありませんでした。やはりプロは投手の球の質も全然違いますからね。ある程度自分から手を出していかないと、結局、追い込まれてしまって難しい球に対処しなければいけなくなりますから。『ある程度先に打って仕掛けていかないと』という、自ら攻めていく意識ですね」

─カウントによって、打撃のスタイルを変化させることもあるのですか?

 「投手、カウントによってなど、状況に応じて、ある程度スイングは変えていますね。3つくらいのスイングパターンはあります」

後編につづく

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