「トップ昇格できると思っていた時期もあった。でも、できなかった」

 広島ユース時代、そして大学時代、二度の悔しさを噛み締めた加藤陸次樹は、いつか広島に戻りたい。いつか広島を見返したい……相反する二つの思いを胸に秘めながらストライカーとして成長を遂げた。そして2023年7月、ファン・サポーターを驚かせた電撃移籍。愛する広島に帰還し、再び紫のユニホームに袖を通した加藤の思いに迫る。

(2023年9月実施のインタビューを再編集して掲載します)

ユース卒業時、大学卒業時、2度トップ昇格を逃した悔しさをバネに大きく飛躍し、広島へと帰還した加藤。

◆広島は、辛抱強くて強度が落ちない。素晴らしいチームだと思っていた

ー2023年8月に行われた移籍会見では、ユース時代の先輩である荒木隼人選手からも、移籍にあたって言葉をかけられたと話していました。荒木選手からかけられた言葉のなかで、加藤選手が一番影響を受けたものはありますか。

「荒木選手には、『俺はずっと一緒にプレーしたかったから、戻ってきてくれることを願ってるよ』と言ってもらいました。もちろん僕のなかにも荒木選手と一緒にやりたいという気持ちはありましたが、セレッソ大阪への思いもあり、すぐには決断しきれていませんでした。そんなときに、荒木選手からそういう言葉をかけてもらえたということは、素直にありがたかったです」

ーその荒木選手は過去の広島アスリートマガジンのインタビューで、『ルヴァン杯決勝はもちろん、シーズンを通してセレッソ大阪は印象深い対戦相手だった』とコメントされていました。加藤選手は対戦相手として、サンフレッチェをどんなクラブだと感じていましたか? なかでも特に意識していた選手がいればお伺いしたいのですが。

「対戦相手としてのサンフレッチェは、すごく辛抱強くて、90分通して強度の落ちない素晴らしいチームだという印象でした。プレー中に特に意識していた選手は、やはり荒木選手ですね。ポジション的にマッチアップすることも多かったですし、ボールが来ているときもそうでないときも、ピッチ上で近くにいることが多かったので、声を掛け合うこともありました」

ー外から見ていたサンフレッチェのイメージと、実際になかでプレーしてみてのギャップを感じることはありましたか?

「良い意味で、若い選手たちが生きいきしているなと感じました。練習中は、年齢やキャリアが下の選手はなかなか自分を出すことができない、はっきりプレーができないということがありがちなのですが、サンフレッチェではあまりそういう印象がありませんね。みんなが自信を持ってプレーできている、チームとしてすごく良い環境のなかでやれているなと思っています。練習中にマッチアップすることが多い山﨑大地選手はルーキーではありますが、自信をもってプレーできていますし、すごく良い選手だなと思います」

ー広島復帰後、初ゴールとなった浦和戦(2023年8月13日、○2ー1)についてお伺いします。塩谷司選手のパスに反応して飛び出し、スライディングしてくる相手DFをかわしての見事なゴールでした。

「あの場面では、塩谷選手からすごく良い縦パスが入ったなかで、一瞬、シュートを撃とうとも思ったのですが、相手DFがスライディングしてくるという感覚もあったので、すぐに判断を変えて切り返しました。ボールもうまく良いところに置けたので、落ち着いてゴールを決めることができたと思います」

ー『寝る前に、自分がゴールを決めた瞬間をイメージしている』というエピソードを聞いたことがありますが、実際にゴールを決めて、いかがでしたか。

「初めてサンフレッチェの選手としてホームでプレーした浦和戦は、緊張というよりもワクワクするというか……本当に楽しみだったんです。ずっと夢見ていたスタジアムでゴールを決めたいな、という気持ちがあって、試合の前日から興奮状態というか……夜もなかなか寝付けなかったですね(笑)。ゴールが決まった瞬間は、まさに、それまで自分がイメージしていた通りでした。スタジアムの一体感に囲まれるような感じで、すごくうれしかったです。みなさんと勝利を分かち合えるように全力で頑張るので、これからも熱い応援よろしくお願いします」