Jリーグの歴史を振り返ると、移籍を経験することなく、ひとつのクラブでプレーし続ける選手はそう多くはない。ましてや、20年以上同じクラブに在籍するとなるとなおさらだ。
2024年シーズンでサンフレッチェ広島在籍21年目。青山敏弘はこれまでファン・サポーターと共に喜びも苦しみも味わってきた。新スタジアムで迎える今季、広島を象徴するMFが目指す姿とはー。ここでは、青山のロングインタビューをお送りする。(全4回・第1回目)
◆たくさんの思いを背負い、新スタジアムのピッチへ
ー2024年、ついにエディオンピースウイング広島でのシーズンがスタートしました。青山選手にとっては、プロ21年目のシーズンとなります。
「エディオンピースウイング広島は、これまでクラブに携わってきた先輩方や、たくさんの方々にご尽力いただいて完成したスタジアムです。そこに現役選手として携わらせていただけることに感謝しています。僕自身、クラブに関わる方々や、先輩たちの新スタジアムへの思いは理解しているつもりです。そういう方々を代表してピッチに立たせてもらうことに対しては、本当に『感謝』の一言ですね」
ーあらためて、昨シーズンまでホームとしてプレーしたエディオンスタジアム広島への思いを聞かせてください。
「エディオンスタジアムでは僕が出せるすべてを出させてもらいましたし、今の自分がいるのは、あの場所で成長させてもらったからこそだと思っています。自分のすべてと言っても良いかもしれません。あのスタジアムと共に終わっても良い。それくらいの思いを抱いていましたし、僕自身を形づくってくれた場所だと感じています」
ーエディオンスタジアムでのラストゲームでは、キャプテンとして先発出場されました。どのような思いでしたか?
「やはり、あの試合は特別でしたね。それまで試合に絡めない期間が続いていましたが、その中でも待ってくれていたサポーターのみなさんの存在は大きかったです。エディオンスタジアムでは、そうしたファン・サポーターと共に絆や愛情を育んできたと思っていますし、サポーターのみなさんとの絆や愛情は、エディオンスタジアムがあればこそ生まれたものだとも感じています。そのスタジアムの最後の試合で、あのような形でみなさんと共に戦えたことは、一生忘れることのない、僕の宝物になりました」
ー青山選手の存在は、ファン・サポーターにとっても大きなものだと思います。青山選手がエディオンピースウイング広島のピッチに立つ姿を楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
「あのピッチに立つことが、今まで応援してくれたファン・サポーターのみなさんへの恩返しだと思っています。2024シーズンは、支えてくれるみなさんに感謝を伝えるような1年になると思うので、1分でも1秒でも長くピッチに立ち、スタジアムでサポーターのみなさんと共有できる時間をつくっていきたいですね」
ーファン・サポーターのみなさんは、青山選手にとってどのような存在ですか?
「ファン・サポーターのみなさんなしには語れないですし、うれしい思いも悔しい思いも一緒に味わってきました。ダイレクトに思いを伝えてきてくれた方もいれば、陰でそっと支えてくれたひとももちろんいます。そういう厳しさや優しさの中から、信頼関係が生まれたのだと思います。今でもサポーターのみなさんとは、わざわざ言葉にしなくても伝わり合うものがあると感じています。そうしたファン・サポーターと共に戦えたことは、結果以上に得ることができたものだと思っていますし、僕のサッカー人生で誇れる、誰にも負けないところだと思っています」
(第2回へ続く)