カープの2024年開幕投手は九里亜蓮に決定した。プロ11年目で大役を担うことになった九里は昨季、イニング数12球団トップを記録するなど、年間通じて先発ローテーションを守り抜いた。クライマックス・シリーズでは中継ぎ登板もこなすなどフル回転の活躍でカープ投手陣を支えた。

 今季も先発陣の柱として期待される九里が2021年から背負う「11」は、カープでは歴代好投手が背負ってきた。ここでは、カープの背番号「11」の歴史を振り返る。

2009年、マツダスタジアムのこけら落としとなった開幕戦の先発を務めたコルビー・ルイス投手。

◆黒田不在の穴を埋めた最強助っ人

 プロ野球界全体で見ても“好投手”のイメージが強い背番号『11』。他球団では永久欠番となっているところもあるが、カープの歴史を見ても印象に残る投手が多いのは確かだ。

 この番号で初めて10年以上プレーしたのは、1974年から1985年にかけての池谷公二郞だ。ドラフト1位入団で木原義隆から『11』を受け継ぎ、“シーソー投法”と呼ばれた左腕を高く上げる独特の投球フォームで名を馳せた。

 ルーキーイヤーから一軍登板を果たし、翌1975年には18勝でチームの初優勝に貢献。3年目の1976年には20勝で最多勝を獲得、沢村賞も受賞した。一方で1977年には被本塁打48を喫しており、これは日本プロ野球史上最高の数字となっている。

 1989年から2000年まで背負ったのは紀藤真琴だ。1983年にドラフト3位で入団し、1987年に一軍初登板。1989年に『11』を背負うと中継ぎとして存在感を発揮。先発に転向した1994年にはキャリアハイの16勝と勝率.762をマーク。この勝率はセ・リーグ1位でもあった。

 在籍期間は短くても、強い印象を残した投手もいる。背番号『11』の歴代選手たちの中では、“カープ史上最強助っ人”との呼び声も高いコルビー・ルイスが好例だろう。黒田博樹がメジャー移籍した2007年オフに加入し、2008年シーズンは開幕から先発ローテーション入り。チームトップの15勝、リーグ2位の防御率2.68を記録したのみならず最多奪三振(183)を獲得、黒田不在の穴を埋めるに十分な活躍を見せた。

 2年目の2009年は助っ人投手として球団史上2人目となる開幕投手を務め、2年連続で最多奪三振(186)のタイトルも獲得。メジャー復帰のため2年のみの在籍だったが、「黒田投手と比べられるのはとても光栄。みなさんに黒田投手と同じくらい、または、それ以上の投球をしていると言っていただけるのであれば、これ以上ない光栄なことだと思います」と話すなど人格的にも優れ、ファンの間では今も記憶に残る存在だ。

◆サイド右腕に早稲田大出身のドラ1右腕

 前述の紀藤とルイスの間、2005年から2007年シーズンに『11』をつけていたのが小山田保裕だ。背番号『39』時代の2002年には球団史上初の30セーブを挙げ、44試合で防御率2.72の成績を残す大活躍を見せた。

 2004年に抑えから先発に転向し、翌2005年に『11』をつけると、5月までの2カ月間で2完封を含む5勝を挙げ、7勝を挙げていた黒田博樹と共に2枚看板として期待された。しかし、以降はケガに泣かされ2007年シーズン限りで横浜ベイスターズ(現DeNA)にトレード移籍となった。

 2000年代はこの小山田、ルイスをはじめとして10年間で4人が入れ替わったが、2010年ドラフト1位入団の福井優也で再び安定期を迎える。この年のドラフト会議では福井と斎藤佑樹、大石達也の早稲田大3本柱投手が注目を浴びたが、斎藤が日本ハム、大石が西武、福井はカープと、全員がドラフト1位指名されている。

 福井は期待通りルーキーイヤーから27試合に登板し8勝。2015年には9勝を挙げるなど、在籍8年で29勝をマークした。

 その後2年間の空白を経て、昨シーズン後から背番号『11』の歴史に名を連ねたのが、2013年ドラフト2位の九里亜蓮だ。ルーキーイヤーから、同1位の大瀬良大地と共に開幕から先発ローテーション入り。先発もロングリリーフもこなせる万能型で、2020年はシーズンを通して先発ローテーションを守り抜き、自身初の規定投球回を達成。防御率2.96と安定感のある投球を見せ、翌2021年から『11』を背負う。背番号変更当時、九里はこう語っている。

「僕の方からお願いさせていただきました。理由としては1という数字が好きということもありましたし、中学、高校、大学と小さい頃から野球をやってきた中でも、プロ野球の試合を見ても僕の中で良い投手がつけているイメージの番号でしたし、憧れの番号でもありました。変更していただいたことで僕自身ももっとレベルアップして、11番という番号に見合った投手になりたいと思っています」

◆【背番号『11』を背負った主なカープ選手】
池谷公二郎(投手/1974年-1985年)
紀藤真琴(投手/1989年-2000年)
小山田保裕(投手/2005年-2007年)
ルイス(投手/2008年-2009年)
福井優也(投手/2011年-2018年)
九里亜蓮(投手/2021年-)