5月17日のアルビレックス新潟レディース戦(▲2-2)で今シーズンの全日程を終えたレジーナ。20日、今シーズン限りで現役引退する近賀ゆかりの引退記者会見を行われた。会見では同じく今シーズン限りでチームを離れる福元美穂もサプライズ登場。抽選で選ばれたサンフレッチェクラブ・プレミアム会員も見守るなか、笑顔あふれる会見となった。
ーラストマッチを終えて、今の心境はいかがですか。
「あまり引退の実感がないというのが、正直な気持ち。これから少しずつ寂しさが湧いてくるのではないかと思う」
ー最終戦の新潟L戦では自らゴールも決めるなど、締めくくりにふさわしいラストマッチとなりました。
「ゴールを決めたいという思いももちろんありましたが、本当に決められるとは思っていなかったので自分でも『びっくり』という気持ち。今まで一緒にやってきた先輩や仲間の姿を見てきたからこそ、ゴールという形につながったと感じている。チームのみんな、いろいろな人に感謝したいです」
ー改めて、引退を決断した時期とその理由は。
「引退を決めたのは、今シーズンが始まるとき。今年が勝負、すべてを賭けてプレーして終わりにするのが良いと思っていた。昨シーズンはメンバー外になるなど、なかなか試合に絡めないこともあったので、今年は何とか試合に出たい、プレーしたいという思いで始まったシーズンだった。シーズンが始まり、スタメンで出場することができたときに自分の気持ちが変わるのではないかと思っていたが、引退への思いは変わらなかった。その後シーズン中に復帰できるかどうかギリギリの大きなケガをして、リハビリ中に気持ちが変わるかなと思っていたが、そこでも自分のなかで思いは変わらなかった。『決めた』というよりも、勝手に(そのときが)『来た』という感じ。昨シーズンまではどうやって引退しようかという気持ちだったが、今年に入って自然と『時期が来たな』と思うようになり、『ああ、こういうときに引退するんだな』と感じた」
ーレジーナでの4年間を振り返って、いかがですか。
「本当に濃い4年間だった。これまでチームを立ち上げるという経験がなかったので、正直『どうなるんだろう』というところから始まった。ただ、サンフレッチェというクラブには、トップチームと同じ哲学でレジーナの道筋をはっきり示してもらうことができたと思う。まだまだ足りないところはもちろんあるが、その哲学は4年間で染み付いてきていると感じている」
ーレジーナでの4年間を振り返って、いちばん印象に残っているシーンを挙げるとすればどこでしょうか。
「難しいですね(笑)。カップ戦での優勝、2万人プロジェクトもすごく印象的ですが、先日、レジーナの選手たちと話していた時に思ったのは、創設1年目に齋原みず稀選手が浦和戦でゴールを決めたシーン(2021年10月16日、浦和駒場スタジアム。◯2-1)。練習でも何度も見た齋原選手らしいゴールで、いろいろな思いが詰まったゴールだと感じた。あのゴールは本当に忘れられない。齋原選手は広島出身の選手ですし、こういう選手が活躍すると、広島の街は盛り上がるのではないかなと感じたシーン。あのゴールは、チームとして、クラブとしてすごく意味のあるゴールだったと思う」
ーレジーナの後輩選手たちへ、伝えたい言葉はありますか。
「最終戦(新潟L戦)で引き分けに終わってしまって、みんな本当に悔しい表情をしていた。1年目にはなかなか感じられなかったその表情を見て、『こういうチームになったんだ、これが成長だ』と感じた。これまでみんなで悔しい思いもしたし、みんなで勝ち取ったものもある。そのなかで芽生えてきたものもあったと思う。これからも、勝ちへの責任を背負ってプレーしてほしい」
ーファン・サポーターのみなさんに、メッセージをお願いします。
「何もないところから、変わらず、ずっと応援してもらい、『応援が背中を押す』とはこういうことだと改めて感じた。これからレジーナが日本一になるところを一緒に見ていきたいと思います」
■近賀ゆかり(きんが・ゆかり)
1984年5月2日生/神奈川県出身/MF
女子サッカー界を牽引するレジェンド。女子日本代表・なでしこジャパンでプレーし、2011年のW杯優勝、2012年のロンドン五輪では銀メダルを獲得。WEリーグ創設元年の2021-22シーズンからS広島Rに所属し、今シーズン限りで現役を引退した。