カープで活躍した炎のストッパー・津田恒実氏が背負った背番号『14』。2014年からその背番号を背負うのが、大瀬良大地だ。プロ1年目で新人王に輝くなど投手陣の中心として活躍してきた大瀬良に、多くのカープファンは津田氏の姿を重ね合わせて見守り続けてきた。投手陣最年長となった鯉のエースが「重いと感じたこともある」と、背番号への思いを明かした。(全2回/第2回)

背番号14を受け継ぐ大瀬良大地

◆背中を押された「弱気は最大の敵」の言葉

 改めて振り返ると、入団当時に14番を背負うことが決まった時、津田さんの事をいろいろと教えていただく中で、カープにとって、カープファンのみなさんにとって、すごく大事な番号なんだと感じました。

 それだけに、良い成績が残せないといろいろと言われる事もたくさんありました。ですが、その言葉に負けないように、少しずつでも良い意味で僕のイメージの番号にしていきたい、先輩の背中を超えていきたいという気持ちになりました。ファンのみなさんが津田さんと僕を重ね合わせて応援してくださる事は特別だと思いますし、僕自身はそう言っていただけることをしっかりと受け止めて、若い頃は津田さんの成績を超えないとやめられないと思いながら投げていました。僕にとって、この背番号14は、自分を成長させてくれた番号ですし、良いモチベーションにもなり続けています。

 津田さんの現役時代は映像でしか見たことがありませんが、僕の中では甲子園でバースと対戦して、すべてストレートで三振を奪ったシーンが強烈に残っています。同じ投手として、ストレートだけで勝負して、相手打者も100%ストレートと分かっているのに、抑えてしまうというのは本当にすごいと思います。津田さんはそのスタイルを崩さなかったからこそ、ファンのみなさんの心に残り続けているのだと思います。

 もうひとつ印象的なのが、「弱気は最大の敵」という言葉です。

 これまで僕が打たれる登板が続くと、ファンのみなさんからいただくファンレターにこの言葉が綴られていたり、いろいろな形で言われ続けてきました。マウンドでは孤独を感じてしまったり、対戦相手によっては打たれたシーンがフラッシュバックしたり、いろいろ考えてしまう事があります。そういう時に「この場面こそ、この言葉だな」と思い起こして、背中を押してもらいながら投げています。