◆背番号14が「重い」と感じることも

 プロ3年目には故障でずっと結果を残せない時期があったり、若い頃には14番を背負っていることが少し重いなと感じる時期もありました。やはり、14番に対してファンのみなさんの期待の大きさがあることを感じますからね。

 ただ、こう感じるのも、14番を背負っているからこそですし、他の選手では味わえない事を経験させてもらいながら、僕は成長させてもらったと思っています。

 僕だけではなく、カープ投手陣がいつも目にするものが、マツダ スタジアムの一塁側ブルペン通路に設置されている『津田プレート』です。目に入ったときには、必ず立ち止まって触って、改めて頑張ろうと思わされますね。他の投手も、気になったりすると見たり触ったりしています。このプレートが常にあるので、僕だけではなく、詳しく知らなくても津田さんのことはみんな知っていますし、背中を押されていると思います。

 背番号14を1年目から背負わせていただいて今年で12年目、僕も34歳になりました。いつの間にか津田さんの年齢を越えてきて、野球をやれている事に幸せを噛みしめながらプレーしています。あと何年野球ができるか? と考えることが多くなりました。だからこそ、毎年マウンドに立つことができているというのは、当たり前ではなくて、改めて幸せなことだと思っています。そして、この14番を1年でも長く僕が背負って、もっともっと特別な良い番号にして、この先の後輩につなげていきたいという思いがあります。

■大瀬良大地(おおせら:だいち)
1991年6月17日生、長崎県出身。長崎日大高-九州共立大-広島(2013年ドラフト1位)。プロ1年目から先発ローテーションに定着すると、10勝をマークして新人王に輝く。チームがリーグ3連覇を果たした2018年には15勝で最多勝利、最高勝率のタイトルを獲得。エースとして2019年から2023年まで5年連続開幕投手を務めた。昨季は6月7日のロッテ戦で史上90人目のノーヒットノーランを達成。今シーズンも投手陣最年長として先発陣を引っ張り続けている。