今シーズン、ナショナルリーグ中地区の首位に立っているカブス。2022年シーズンからカブスでプレーする鈴木誠也も、今季チームの中心選手として、自身のメジャーキャリアハイとなる活躍を見せている。

 ここでは改めて、鈴木が世界へ羽ばたく強打者へと成長するまでの歩みを、当時の独占インタビューから振り返っていく。プロ1年目・2013年シーズン、伸び悩み、もがいていた鈴木が明かしていた自身の思考の変化とは。

プロ1年目・2013年当時の鈴木誠也。

◆今まで負けていたのは『自分』。自分に負けなければ、それでいい

─鈴木選手の言葉としては、「自分に負けたくない」というものが印象的です。

「昔から『自分は自分』って思っています。小学生、中学生のときからそうで、一人相撲みたいな感じで野球をやってきたところもあるんです。ライバルっていうライバルもいなかったし、自分との戦いで、自分に負けなければそれでいいやと思っていました。だから今まで負けてたのは『自分』でした。やるって言ってもやらなかったり、素振りをやる、走り込みをやるって言っても1日やったら次の日から全然続きませんでした」

─今の鈴木選手からはなかなか想像がつかないお話ですね。

「今は『あいつは口だけ』って思われるのも嫌だし、自分にさえ勝てれば絶対に成功するって思っています。自分にさえ負けなければ何とかなるって思っています。二軍のときも打てないときは、体がきつくても休まなかった。きついから練習をしないっていうのは違うと思うし、きついながらも練習していたら結果が出てきていたので、そういう面では自信になっている部分もあるんです」

─それでも知らず知らず疲労は溜まってくると思いますが、それでもなぜ休むことなく、続けていたのでしょうか?

「きついからこそやった方が体は強くなるし、気持ちの面でも自分に『勝ってる』と思えます。少しでも野球に携わる時間を長くすれば、人よりも野球のことを考えていられるし、プロの世界はやったもん勝ちだって思っています。その日の試合で打てたら何もしない、打てなかったら練習するっていう選手にはなりたくないんです。打ててもやる、打てなくてもやるっていう選手が良い選手だと思っています。今やっている自分の練習や考えが今の時点では合っているのか分からないんですけど、これからずっと続けていけばそれが自信に変わっていくと思います」

─結果に関わらず、とにかく努力を重ねていくということですね。

「たとえば大谷(翔平)くんや藤浪(晋太郎)くんは、高校生のときから注目されていた選手だったし、活躍して当たり前というか。ただ、それで結果を残しているのはすごいと思うんです。あの二人は天才バッターとか、天才ピッチャーなのかなって思います。でも自分はそうじゃないし、天才じゃないし、努力してやらないといけない。天才だったら3月の時点で壁に当たらず、バンバン打っていると思うんです。でも、それが無理だった時点で天才じゃないと思うし、練習しないとダメなんだって思って。そうしたら良い結果が出てきたんで、改めてそういう努力の選手なんだなって思いましたね。自分に負けていたらダメなんだなと」