◆自分で自分を潰さないために、努力をやめない
─練習へと熱心に取り組むようになったきっかけなどはあるのでしょうか?
「高校のときに『野球の神様が見てるぞ』ってしつこく言われたことがあったんですけど、全然言われたようにやらなかったんです(笑)。『神様なんて、嘘つけよ』って。でもプロに入って、練習をやらないときは結果が出なくなったし、頑張っていたら一軍に上がれてヒットも打つことができました。『もしかしたら野球の神様っているのかも……』という気持ちでやっていたら、夏場体がきつくて練習せずに布団に入って寝ようとしても、なんだか隙間とかから誰かに見られているような気がして。なんか怖くなって、練習やらないとダメだって思って、そのまま起きて裸足でベランダに行ってバットを振って寝たことがあるんですよ」
─毎日練習をしていないと気持ちが悪いということですか?
「はい。バットを握っていない日があるのも嫌です。自分自身が練習をやらないんだったら、そういう風に思わなかったと思うんですけど、練習をずっとやってきてたから休んだときにそういう気持ちになるんです。『こんなんで活躍できんのか? いやできないだろ』って自問自答です。打てないと悔しいし、全部打ちたいっていう気持ちでいるから、また考え過ぎちゃう。考え過ぎなのかな、もう考えないでいいかなって思ったときもあったんですけど、堂林(翔太)さんに相談したら『すごい選手も何かしら自分の中で考えてやってるし、前田智徳さんも考えてやっていたんだよ』っていうのを聞いたら楽になりました」
─才能があるからこそ、練習することが大事だということを改めて実感したのでしょうか?
「それは高校のときからずっと言われていました。『お前は才能があるのに練習しないからダメなんだ。野球選手として潰れるぞ』って言われても『打てばいいんだろ』って心の中で思っていました(笑)。でもそれは高校生までの考えで、今は本当に自分の才能というか、足の速さ、肩の強さ、体の強さなど、生まれ持ったものを生かさないと意味がないと思っています。野球しかやってきていなくて、せっかくこういう世界に入れて、これで努力しなかったらもったいなさ過ぎますよね。自分で自分を潰したくないんです。練習して練習して、それで結果が出ない方がまだいいです。自分の才能がなかっただけと思えたらいいんですけど、あのとき練習しておけば良かったって思いたくないから、一生懸命やりたいですね」