◆同世代の監督との対戦は楽しみ

─アマチュア時代からライバルである中日・与田剛監督と、監督として対戦することになります。やはり、意識される部分はありますか?

 「選手のときはドラフト同期入団でもありますし、与田さんはライバルとして意識していましたよね。先日ドラフトのときも挨拶をさせてもらいましたが、対戦はすごく楽しみです。もちろん与田監督だけではなく、他球団の監督も同世代が多くて、僕と同じ新監督の高津(臣吾)監督、阪神の矢野(燿大)監督、巨人の原(辰徳)監督、DeNAのラミレス監督(いずれも当時)と僕が現役時代に対戦を重ねてきた監督ばかりです。僕はルーキー監督として戦っていくわけですが、同じ世代の監督でライバルとして戦えるというのは楽しみですよ」

─投手陣に求めていきたいことは、コーチ時代と変わらないのでしょうか?

 「考えは変わらないですね、現在は先発、中継ぎ、抑えと球界は分業制が定着しています。その中でやはり先発投手には中5日、6日と登板間隔が空く中で責任があります。毎日ブルペンに入るリリーフ陣の大変さというのも分からないといけませんし、ここ数年では50〜70試合登板するリリーフ投手がいるのは当たり前になってきています。その中で先発投手は登板間隔を空けて調整をするわけですからね。勝つためには、1年間の中で当然継投が必要になってきますが、まず先発には1イニングでも多く投げてもらいたいです。長いイニングを任されるというのは、信頼の証でもありますから。またリリーフ陣の強化も大事になってきますよね。日本一になったソフトバンクの投手陣を見ていると、6回以降には150キロ以上の球を投げるパワーピッチャーが揃っていて、それが今の野球では当たり前になってきています。そう考えるとリリーフ陣の中に1人でも多くのパワーピッチャーをつくっていかなければいけないとも思っています」

─一方で佐々岡監督が理想とする打線はどのようなものなのでしょうか?

 「カープ野球の基本である機動力という面は継承し、継続していかなければいけないと思います。走って1つでも先の塁を狙って1点を奪いに行き、その1点を投手を中心とした守りの野球で勝ち切ることを基本線として考えています。今季1年を振り返ると得点力の低下が課題となりました。もちろんカープ野球を基本線として考えながらも、やはり中軸の3、4、5番には長打が打てるバッターが(鈴木)誠也以外にも欲しいですし、今の野球ではそういう攻め方も必要だと思っています」

─V奪回へ向け、カープファンのみなさんの声援も大きな力となります。

 「当然そうですね。僕が現役引退した頃はそんな光景ではありませんでしたが、ここ数年本当に多くのカープファンのみなさんがマツダスタジアムのスタンドを真っ赤に染めてくれています。そしてビジター球場でも敵地とは思えないような声援を送ってくれています。その光景というのは本当に力になりますし、これからもカープファンのみなさんの声援は絶対に欠かせません。球団、選手、スタッフ、そしてカープファンのみなさんと一体となって、勝利を勝ち取っていきたいと思っています」

■佐々岡真司(ささおか・しんじ)
1967年8月26日生、島根県出身
1989年ドラフト1位で広島入団。1年目から13勝17セーブを記録すると、2年目には17勝をマークし、最多勝、沢村賞を受賞するなどリーグ優勝に大きく貢献してMVPに輝く。その後はチーム事情からストッパーとしても投手陣を支えた。2007年限りで現役引退。プロ野球解説者を経て、2015年に二軍投手コーチとして広島復帰。2018年に一軍投手コーチに就任し、2019年10月7日に広島一軍監督就任が発表された。現在はプロ野球解説者として活動中。