1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。
第2回目の特集は、カープ歴代監督のインタビューセレクション。
広島東洋カープを牽引してきた歴代の監督たち。その手腕や采配の裏には、揺るぎない信念とカープへの深い愛情があった。ここでは、広島アスリートマガジンに過去掲載した監督たちのインタビュー、OBによる証言を厳選。名場面の裏側や選手との関係、勝利への哲学など、時代を超えて語られる言葉の数々をお届けする。
選手時代は先発・中継ぎ・抑えとしてカープの投手陣を支え、コーチを経て第19代広島東洋カープ監督に就任した佐々岡真司。カープ53年ぶりの投手出身監督となった佐々岡氏が語っていた打線への期待、そしてカープファンへの思いを再編集してお届けする(全2回/第2回)
(『広島アスリートマガジン2019年12月号』掲載記事を再編集)
◆FA権を持った選手は全員必要な選手たち
─監督就任後、若手が連日奮闘しているフェニックスリーグも視察されました。その背景は?
「監督に就任してから一通り挨拶をしたかったですし、当然二軍の練習にも足を運ぼうと思っていました。『全員で競争だ』、『みんなで一つにならないと強いチームになれない』ということを言いました。今季は一軍投手コーチだったので、二軍のルーキーを見る機会もなかなかありませんでした。今後は秋、春のキャンプでの見極めが必要になってきますが、良ければ一軍キャンプへ連れていきますし、そうでなければ二軍に戻ってもらいます。そういう厳しさの中で競争意識を持ってほしいと思っています。まずは秋のキャンプへ若手を連れていきますが、一軍経験のある選手と一緒に練習をする中で、若手が自分のプレーをできるか?そういう部分を見ていきたいですね。いずれにせよ、楽しみな若手がたくさんいますよ」
─監督就任後には、會澤翼選手のカープ残留という大きなニュースもありました。
「まず監督に就任したときから、今FAの権利を持っている選手は全員必要だと思っていました。その中でまず最初に會澤がカープに残ってくれるということを聞いて、ホッとしましたし、チームの要である選手なので残ってくれないと困るところでしたからね。僕自身すごくうれしかったです」
─秋季キャンプではどんなテーマを持って臨みたいと考えておられますか?
「やはり投手、野手ともにまずは若手の底上げですね。投手であればリリーフ陣が今季弱かった分、若手のアピールに期待する面がありますし、野手も含めて今回連れていくメンバーで実戦を入れながら見極めていきたいと思っています。今回秋季キャンプに行くメンバーは必死になって練習してもらいたいし、みんなライバルです。その中で『絶対に一軍に残るんだ』という気持ちで実戦練習に入ってほしいですし、結果よりも内容を重視していきたいと考えています。厳しさを伴う練習の中で、同じ失敗を繰り返すようなことがあれば、広島に帰ってもらうこともあるでしょうし、当然厳しくいきたいと思います」