1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。
第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。
海を渡ってやってきた助っ人たちは、その活躍だけでなく、ユニークなキャラクターでも多くのカープファンに愛された。ここでは懐かしい外国人選手を中心に、彼らの “広島愛”を改めて振り返る。
先発投手としてリーグ優勝に大きく貢献し、海外出身選手としては史上2人目となる沢村賞にも輝いたクリス・ジョンソン。『KJ』の愛称で多くのファンから愛されたジョンソンが、日本の地で成功するために大切にしていた考え方とは。(全2回/第2回)
(『広島アスリートマガジン2017年5月号』掲載記事を再編集)
◆自分に自信を持って投げる
— ジョンソン投手がプレーする上で、いつも大事にしていることを教えてください。
「『やり過ぎない、トライし過ぎない、自分を常に冷静に保つこと』を大切に考えています。自分の能力以上のことを出そうと思っても、それは可能ではありません。ですので、自分が出来ることを100%に近い形で出すということをいつも意識しています。あとは自信を持ってプレーすることも大事にしていることです。自分自身に自信を持つことによって、野球にも明るい気持ちで取り組めると考えています」
— そういう考えとなるにあたり、これまでの野球人生の中で影響を受けた人物はいるのですか?
「特にメンタル的なことを指導するコーチがいたわけではありませんが高校生の頃に出会ったコーチから、先ほど言ったようなことを学びました。また今まで出会ってきたコーチたちから学んだことも自分の信条にしています」
— 米国時代も含め、これまでの野球人生で一番印象に残っている登板を教えてください。
「たくさんの試合を経験していますが、その中であえて1試合挙げるならば、昨季日本シリーズの第1戦目での登板です。これまでいろんな思いを持って野球に取り組んできたわけですが、あの登板は僕が今まで経験してきた中でも非常に重要で大きな登板でした。とても感慨深い気持ちで投げた思い出がありますね」
— ご自身が考える異国の地で成功する秘訣を聞かせてください。
「いろいろな要素があると思います。一概には言えないですが、僕が一番大切に思っているのは、安定感です。試合の中で先発としてどのくらい安定した投球をするかによって、勝つ確率が増えてくると思います。また良い登板ばかりではないので、調子が良くないときに試合の中でどれだけ修正できるか? そういった能力も必要になると思います。あとは競争心です。チームメートに競り勝って勝ち残るという意識も必要だと思います。そして先ほども言いましたが、やはり自信を持って立ち向かうというものも成功するための秘訣かと思います」
— 来日してから、ご自身が成長したと思う部分はありますか?
「アメリカにいたときと、来日してから、さらに良くなったことは自分としては感じていません。アメリカでも来日してからも同じスタイルを貫いているというのが率直な感想です。場所は違えど日本もアメリカも野球は野球で一緒だと考えています」
■クリス・ジョンソン
1984年10月14日生、32歳
アメリカ出身
ウィチタ州立大-レッドソックス(2006年)-パイレーツ(2012年)-ツインズ(2014年)-広島(2015年〜2020年)

