即戦力右腕として早くから注目を集め、現在は周囲の期待以上とも言える投球を見せ続けている森下暢仁。新型コロナウイルスの影響で厳しい調整を迫られるなか、順調にプロ初勝利、プロ初完封を記録するなど新人王受賞も現実味を帯びてきた。

ドラフト2位の九里亜蓮投手と共に即戦力として入団した大瀬良大地投手。年間通じての活躍で、1年目から10勝をマークした。

 夏場に入りクオリティスタート(6回以上、自責点3以内)の数も増え、安定感は右肩上がりで上昇中。前田健太から引き継いだエースナンバー通りの活躍で、今やカープ先発投手陣に欠かせない存在となっている。

 ここでは森下と同じくルーキーイヤーに活躍し、見事に新人王を受賞した過去のカープ大卒投手をピックアップして紹介していく。今回は現在カープのエースとしてチームを最前線で引っ張る大瀬良大地のルーキーイヤーを振り返る。

◆開幕後の快進撃に貢献。最終的に二桁勝利を記録

 ヤクルト、阪神、そしてカープが1位指名するなど、大学球界屈指の大型右腕として期待されていた大瀬良大地。かつて背番号14を背負い“炎のストッパー”として活躍した津田恒実と同じく力強い直球が持ち味の右腕としてプロの世界に飛び込んだ。

 前年、球団初のクライマックス・シリーズ(CS)に進出し、勢いづいていたカープは開幕から快進撃を続け4月中旬から1カ月以上首位を快走。そうしたチームの勢いに後押しされるかのように、大瀬良自身もプロ初勝利を挙げた4月16日の阪神戦から5連勝を記録した。

 春先から幸先良いスタートを切った大瀬良に暗雲が立ち込めたのが、交流戦が始まった5月下旬から。直球が走らず打ち込まれる試合が続き、7月26日の阪神戦では全身がつり、途中降板を余儀なくされた。

 だが8月途中から徐々に本来の投球を取り戻し、9月6日のDeNA戦でプロ初完封、そして9月25日には10勝目をマークした。

 CSではファーストステージの第2戦に先発。結果は敗退となったが、大瀬良自身は7回無失点と気迫溢れる投球を披露。シーズン最後の登板で1年目の集大成を見せた右腕の新人王受賞は、周囲も納得の結果だったに違いない。