チーム打率(.262/リーグ2位)は悪くなかったものの、昨季のカープ打線はつながりを欠き、効率的な攻めを見せることができなかった。復活を期す打撃陣の現状を、カープOBでプロ野球解説者の笘篠賢治氏が分析する。

無観客での実施となったが、例年と変わらぬ選手の熱気で盛り上がりを見せたカープ沖縄キャンプ。

◆3連覇当時の雰囲気を感じた春季キャンプ

 ありがたいことに、今年もキャンプ地へ取材や中継のために訪問させていただくことができました。初日からカープの沖縄キャンプを取材していたのですが、いつもならあるはずの地元の方々からの歓迎セレモニーなどが今年はなく、また無観客ということもあり、キャンプ初日の独特の高揚感というものはほとんどありませんでした。

 ただ、選手の活気は例年以上に感じましたし、初日のベースランニングから各選手の熱気を感じることができました。昨年のキャンプを見ても同じことを感じましたが、カープは比較的主軸の選手であっても初日から全開で飛ばしていく選手が少なくないんですよね。

 それがカープらしさと言うのかもしれませんし、独特の熱気を生み出しているのかもしれません。もちろん初日から目立っている主力選手以上に目立った活躍をしなければならない選手はたまったものではありませんが、今の若手選手も目に焼き付けておいてほしいですね。

 さて、今回のキャンプで特に目を引いたのが田中広輔選手です。昨季の中盤から見せていた良い流れをそのまま維持して、キャンプに入った印象を受けましたし、チームのまとめ役としても存在感を見せていました。投内連係では、練習がひと段落すると、周囲の選手や投手にアドバイスをしている場面がよく見受けられました。

 また、それは同じ学年の菊池涼介選手も同様です。やはり良い組織とは、指導者、つまりここでいうコーチや監督から注意する前に、選手たちが自発的に動いて自分たちのプレーを省みていきます。今年のカープのキャンプは特にそうした雰囲気を感じましたし、選手たちが自主的に動いていくという部分は3連覇をしていた時期のチームの雰囲気に近いものを感じました。